火災
開店前の無人店舗火災
富岡甘楽広域市町村圏振興整備組合消防本部(群馬)
はじめに
当消防本部は、群馬県南西部に位置し、管轄広域面積は、四八八・五二平方キロメートルで県総面積の七・七パーセントを占めている。東は田園に開けて、藤岡市、高崎市を経て関東平野に続き、西は、妙義荒船国定公園の山系を境として、長野県佐久市、軽井沢町に、南には秩父連峰を背にして東西に延びる山脈をへだてて多野郡に、北は雄大な浅間山を望見し、安中市、松井田町にそれぞれ接している。
地形は三方を山並みに囲まれ、西に進むに連れて高くなり平たん地は概ねY字形を呈している。東西における標高差は一、二〇〇メートル有余で、上信国境の山峡にその本流を発し、支流南牧川を合流する鏑川は、多目的用水として圏域を潤し、市街地の南部を清く流れている。
年間を通じ、四季の変化に富み気候は温暖で、夏にはスコールをしのばせる雷雨が頻繁に見舞うが、冬季の季節風は県内でも穏やかな甘楽郷である。
消防体制は、一本部、二署、四分署、一分遣所、職員数一三七人で地域住民の安全確保に努めている。
ここに紹介する事例は、初詣でには、約一〇万人が訪れる国指定重要文化財である県内屈指の神社の参道下で、古くから商店が街道沿いに密集して立ち並ぶ地区で発生した建物火災である。
一 火災の概要
(1) 出火日時 平成一二年一月一〇日(月) 午前八時三五分頃
(2) 出火場所 富岡市一ノ宮一三六二番地
(3) 覚知時間 平成一二年一月一〇日(月) 午前八時四二分
(4) 鎮火時間 平成一二年一月一〇日(月) 午前九時五〇分
(5) 気象状況
天候晴れ
気温六・〇℃
湿度六四・〇%
風向北西
風速一・七m/sec
(6) 焼損程度
全焼二棟、部分焼一棟
焼損面積二二四m2
罹災世帯三世帯 九人
損害額一、〇六九万六千円
死傷者 なし
(7) 出火原因 不明
(8) 出動車両及び人員
消防署 水槽付ポンプ車等九台三一名
消防団 ポンプ車等九台一三〇名
二 付近の状況
現場は、安閑天皇元年(五三五年)草創と言われる国指定重要文化財、貫前神社の参道下で、富岡消防署一ノ宮分署から北東に約四〇〇mに位置し、幅員約七mの東西通りの両側に商店や住宅が林立する古い町並みで火災発生時には延焼拡大のおそれのある地域であるが、現在は地域南側にバイパスができ人通りは幾分少なくなっている。
三 発見通報初期消火状況
発見通報は、火元建物西隣の住民が火災に気付き一一九番通報をした、気付いたときには煙がすごく近づいて消せる状態ではなく水道のホースで散水しかできなかった。火元建物関係者は、出火建物で生活しておらず、開店前の時間だったので出火当時は南側に位置する別棟の住宅に居た。