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なお、被控訴人は、窓を閉めきってカーステレオを聞いていたため、救急車のサイレン音を認識することは不可能であったと主張し、…七八ホンの騒音のある場所における昭和四四年八月の実験の結果、窓を密閉した状態のタクシーの車内で冷房及び無線作動中の場合、消防車のサイレン音が聞き取れるのは一〇m以内であって、しかも注意しないと聞き取りづらいこと、本件事故のあった交差点は、平成一〇年九月二三日現在、比較的多数の車両が通行し、七二・五ないし八四・四デシベル(ホン)の騒音があることを認めることができる。しかしながら、そもそも、被控訴人車は冷房及び無線作動中ではなく、本件事故は右実験から約二五年後であって、各種機器の性能等も異なっている可能性があり、本件事故時の状況は右実験とは前提条件が異なっているから、その結果を本件における認定の基礎とすることはできない。他方で、右実験結果によれば、窓を閉め切ったパトカーの車内の場合、五〇m離れた位置からはっきりとサイレン音が聞こえているし…現に本件国道の西行き車線及び東行き車線の左車線には対面信号が青色であったにもかかわらず、車両が全部停止していたことからすると、これら車両の運転者には救急車のサイレン音が聞こえていたと推認される。

 

 

 

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