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ワンポイント

消防職員のための法令解説

 

情報公開法(五)

 

一二 法人等情報

不開示情報として、法人等情報で、公にすることにより、当該法人等の正当な利益を害するおそれがある情報(情報公開法五条二号イ)および法人等が公にしないとの条件で、行政機関に任意提供した情報があげられる(情報公開法五条二号ロ)。

ここでいう法人は、特段限定はされていないから、営利法人、公益法人、社会福祉法人等の法人が該当する。国、地方公共団体は、除かれる。権利能力無き社団や、個人の事業活動情報も本号の対象となる。

法人等情報の不開示理由に該当する場合でも、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報は、開示対象となる(情報公開法五条二号但書)。

この「公にすることが必要であると認められる」かどうかは、開示されることにより保護される利益である人の生命、健康、生活又は財産の保護利益と、不開示にすることによってえられる法人等の利益を、比較衡量して判断されることになる。

法人等の正当な利益とは「権利、競争上の地位その他正当な利益」である(情報公開法五条二号イ)。

法人等が、非公開を約束して行政機関に提出した情報は、本来、法人等が、自己情報コントロール権を有する。しかし、この非公開約束が、公序良俗に違反して無効といえるような場合には、公開しても正当化されうる。そこで、条文では、「行政機関の要請を受けて、公にしないとの条件で任意に提供されたものであって、法人等又は個人における通例として公にしないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの」を不開示情報としている(情報公開法五条二号ロ)。

 

一三 国の安全等情報

「公にすることにより、国の安全が害されるおそれ、他国若しくは国際機関との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国若しくは国際機関との交渉上不利益を被るおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」(情報公開法五条三号)も非開示情報である。国の安全等に関する情報である。

行政機関の長の裁量が尊重されている。

 

一四 公共の安全等情報

「公にすることにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報」(情報公開法五条四号)も非開示情報である。

この公共の安全等情報は、刑事法の執行と考えた情報といえる。

伝染病予防等の行政に関する安全情報は、情報公開法五条六号の非開示情報の問題となる。

公共の安全等情報に関しても、行政機関の長の裁量を尊重する規定となっている。

 

全国消防長会顧問弁護士 木下健治

 

 

 

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