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二 地域と共に防火防災に取り組む婦人消防

婦人防火クラブ、婦人消防協力隊など名称は地域によって異なりますが、七二クラブ、九千八百七名が婦人消防連絡協議会のメンバーです。

女性は、地道な火災予防の実践者ですが、「明るく楽しい家庭」を築くうえで女性の果たす役割は大きく家庭安全の立役者です。また、家庭の防火は地域の防災に通じることから、消防演習や地域の防災訓練にも積極的に参加しています。当地域は、過去幾度となく津波や大きな林野火災に襲われ尊い人命や財産を失っていますが、再び災害による被害が発生しないよう地域を守ることにも女性達は懸命です。

防災訓練では高齢者を避難させたり、食糧の炊き出し、負傷者の介護、そして消火器・三角バケツによる初期消火はお手の物です。

春と秋の火災予防運動週間においては、職員とともに管内を巡回し、優しく真心あふれる声で訴える火災予防は、地域に響きわたり効果を大きいものにするなど、多岐にわたり活躍しています。

 

三 玄関につるした拍子木が防火のシンボル

火の用心の焼き判が押された拍子木がどこの玄関にも下がっています。「戸締り用心、火の用心」出かける前、あるいは就寝前に励行すべき家庭の安全策ですが、新里村婦人消防協力隊は、消防と協力して全世帯に拍子木を配りました。出かけるときなど火気の点検に気付き、火災予防に役立てようとするもので、警火心を意識させる防火のシンボルとして、今日も静かに玄関にぶら下がっています。

 

四 ポスター、看板で火災予防

昭和三六年五月、平均風速三〇メートルの烈風下に発生した三陸フェーン大火は、死傷者一〇二名、消失家屋一、〇六二棟など未曾有の被害をもたらした大災害です。あれから四〇年になりますが、いまだあの時の恐怖は忘れ去られてはいません。

この地域は、急峻な山岳地帯で樹種は様々であり、灌木が生い茂っていて林野への進入は思うにまかせず、一度火災が発生すると沢や川を水利にしようにも水量が乏しかったり水深が浅かったりで消防活動は至難の業であります。もし強風時に火災が発生したら再び大火災になる虞があることから、ことのほか林野火災の予防には力を入れています。

山火事シーズンは山菜採りのシーズンと重なることから、消防団を含め当番を決めて管内を巡回するなどの予防活動を続けています。その一端として毎年行っている小中学生による火災予防ポスターや消防団が行う立看板のコンクールは、入山者に火災予防を啓発するにふさわしいユニークなものばかりで、大きな予防効果をもたらしています。

 

おわりに

消防白書を見ると岩手県は、建物火災一件当たりの焼損床面積が毎年上位にあります。家そのものが大きいこともありますが、消防車が火災現場に駆け付けるまでの時間が一つの要因となっています。核家族化や高齢化が進行し、火災による人的被害が憂慮され、火災予防は身を持って実践すべき重要な課題となっており、より一層の努力が求められています。今後とも地域の連携を強固にして、防火防災に取り組む所存であります。 (山崎俊雄)

 

 

 

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