マスコミュニケーションに携わる人々の間で、文章の基本とされているものに3Cの原則というのがある。
最初のCは、Clear(はっきりと)。はっきりと物事をとらえ、表現を曖昧にしないということだ。決して思い込みや聞きかじりで書かず、暖昧な箇所は必ず確認をしてから書くようにする。新聞記者や作家も机の周囲には何冊もの辞書や辞典を置いている。
次は、Correct(正しく)。書かれている事実やデーターに誤りはないか?文章中で矛盾していることはないか?固有名詞、数字などに誤りはないか?などは常時チェックする必要がある。
三つ目はConcise(簡潔に)。長い文章は途中で「言いたいこと」がぼやけてしまい、読みにくいものだ。短文で、歯切れの良い文章が「言いたいこと」を早く簡潔に伝えることのできる文章である。
<マスコミの文章の基本>
3Cの原則
・Clear (はっきりと)…はっきりと物事を捉え、曖昧にしない
・Correct (正しく)…事実やデータは正確に
・Concise (簡潔に)……短文で簡潔伝える
●表現のテクニック
まず「書き出し」。書き出しは、読み手の関心をつかむための呼びかけである。ポイントは、短文で始めること。書き出しが長すぎると読み手は最初から疲れてしまう。例外はあるにしても、多くの文芸作品も書き出しは簡潔な記述で始まっている。
<書き出し>
歯切れのよい書き出しの例
・トンネルを抜けると雪国だった。(川端康成「雪国」)
・ミドリ公園に行く途中の薮で蛇を踏んでしまった。(川上弘美「蛇を踏む」)
・その頃も旅をしていた。(開高健「夏の闇」)
次に「文章のリズム」。末尾が「です」の連続や体言止めばかりでは、リズム感を失い読み辛くなる。リズム感のある文章とは、文章の長さや言い回し、特に末尾の「です」「ます」「である」などと体言止めとのコンビネーションがうまくできており、流れるように弾むように軽快に読み進むことができるものをいう。倒置法を使ったり、過去形と現在形をうまく組み合わすなどの工夫と修練で、文章にはリズム感が出てくる。
そして「漢字の使い方」。漢字の多すぎる文章は、読み手に威圧感を与えてしまう。行政の印刷物には、漢字が多用されているケースがみられるが、漢字は五文字以上続けないよう注意したい。政策名などや固有名詞などで、仕方のないケースもあるかもしれないが、庁内で使用する文書はともかく広報に使用する文章には、助詞を効果的に使用するなどしてやわらかな表現を心掛けたい。表現そのものも時代にマッチし、親しみが持てるような言葉に置き換えるだけで読みやすくなるはずだ。
<漢字は五文字以上続けない>
・業務遂行上必要な→業務を遂行するうえで必要な
・家庭教師派遣契約→家庭教師の派遣契約
<やわらかな表現に置き換える>
・学ぶ→一緒に考えましょう
・交流する→ふれあう
・実施場所→会場
・募集方法→参加方法