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送りっぱなしの一方通行ではなく、ツーウェイコミュニケーションとなるためには広聴活動が不可欠なのだ。

 

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●魅力ある広報物とは

極論だと言われるかもしれないが、この世の中には「魅力のあるもの」と「そうでないもの」の二つしか存在しないと私は思う。例えば、「好き」「そうではない」、「興味がある」「そうではない」、「メリットがある」「そうは思えない」etc…。以上の例のなかで「好き」「興味がある」「メリットがある」はいずれも個人にとって心地よいものであり、「魅力的なもの」の範疇に入る。ただし「どちらでもない」は、「そうではない」に含まれる。

では、魅力のある広報物とはどういうものかを考えてみよう。

個人にとって魅力ある広報物のベースとなるのは次の三点だと考えられる。

一 興味がもてる内容であること

二 印象がよい

三 メリットがある

では、この三つについて、行政広報に絞り込んで考察してみたい。

 

●輿味がもてる内容

ライフスタイルや嗜好が多様化している現代社会において、個人が抱く興味の対象も千差万別である。しかし、自己の必要としている情報や関係のあるニュースなどについては、誰もがほぼ例外なく関心を示すと考えられる。

行政の広報には、全住民を対象としたものもあれば、お年寄りや乳幼児を持つ母親、青少年というように特定の人々を対象に考えているものなど様々である。広報物に興味を持ってもらうには、その情報を必要としている人、情報内容に関係のある人の関心をひく媒体であることが不可欠だ。

そのためには、まず、情報の発信先、つまり「ターゲット」がどういう人々かを認識する必要がある。そしてターゲットが確定すれば、どのようなスタイルで情報を発信するのが効果的なのかを探っていかなければならない。この作業が、実は最も重要な「編集方針」に繋がってゆくのだが、ここで要となるのが前述の広聴活動なのだ。

情報の受け手であるターゲットの年齢やライフスタイル、嗜好などを分析してゆけば、切り口をはじめ文章表現、活字の大きさや文字量、イラストや写真などのビジュアル面をどう工夫すれば魅力的な媒体になるかが見えてくる。このリサーチがまさに広聴活動なのだ。そしてターゲットに合わせて考え抜かれた表現方法が「編集方針」となるのである。

しかし、工夫を凝らしてつくられた広報物も、相手にきちんとデリバリーされなければ話にならない。ターゲットに個別に配布するというのが理想だが、諸事情により、そうもいかない場合が多い。しかし、定地配布(決められた場所に広報物を一定期間置き、自由に取ってもらう)するとしても、インフォメーションセンター的な場所に置くだけではなく、ターゲットが立ち寄る可能性の高い場所を選んで置くだけで効果は上がるはずだ。

例えば、乳幼児をもつ母親に知らせたい場合は、保育園や児童館に置き、保健所などでの定期検診等の際に配ってみる。保健婦による家庭訪問の機会があれば、持参してもらえばよいだろう。「これ、ためになりますよ」の一言で、関心は高まるものだ。

苦労して作ったパンフレット類も役所の奥のカウンターの上やラックに置いたままでは、決して有効活用はされない。

 

●印象をよくするためには

人間は中身で勝負だが、印刷物の場合は外見が何より大切だ。見た瞬間に相手の心を動かし、思わず手に取ってみたくなるような印刷物をつくるために、企業はデザイナーやコピーライター、カメラマンに多額のギャラを支払い、タレントやアニメなどのキャラクターの力を借りるなど努力を続けている。

現代に生きる私達は、雑誌や広告を通して美しい写真や洒落たレイアウトの印刷物などに見慣れている。

 

 

 

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