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表2 自然放射線源からの推定年間実効線量

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体内にRIを摂取した場合蓄積しやすい臓器と元素との関係9]は次のとおりである。

甲状腺(131I、肺(222Rn、226Ra)、赤血球(59Fe)、筋肉・全身(137Cs)、全身(3H)、消化管(32P)、骨(32P、65Zn、90Sr、91Y、99Mo、210Po、226Ra、227Ac、233U、239Pu)。

体内に取り込んだ放射能の影響は、α線を放出する核種や比較的高いエネルギーのβ線を放出するもので半減期が長い核種(注3)が特定の臓器に蓄積すると大きく現れる。

放射線による障害には、ある一定以上の放射線に被曝すると皮膚の赤斑、脱毛、不妊、白血球の減少などが比較的短い期間に現れる急性障害と白血病などの癌が数年から数十年後に現れる晩発性の影響がある。前者はあるしきい値を超えてはじめて臨床的な障害が現れ、その発生確率が被曝線量とともに大きくなる。この影響を確定的影響という。これに対して後者の白血病、癌、遺伝病は、被曝線量とともに発生確率が大きくなり、しきい値がないとされている。これは確率的影響と呼ばれる。たとえば一〇mSvの被曝で白血病が現れる確率は一〇万人に二人である。因みにタバコ二〇本を毎日喫煙する人の癌発生確率は五〇〇人に一人といわれる。

 

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急性被曝した場合の被曝レベル(吸収線量)とその人体への影響は分かっているので、それらの関係を法令基準値とともに横軸対数の図1に示した。胸のX線間接撮影(レントゲン写真)では約〇・三mSv、胃のX線透視撮影ではその一〇倍の三〜四mSvのX線を浴びる。これらの線量と影響の関係を把握しておくことは非常に重要である。

三〇日後に約半数の人が亡くなる被曝線量(四Gy)を人体に受けたとしても熱量に換算してせいぜい一/一〇〇〇の温度しか上昇しない。どんなに感受性の高い人でも一、〇〇〇分の一の体温変化を感じる人はいない。それだけに放射線が恐れられている所以である。

 

四 放射線施設の現状

一九九九年の放射線利用統計10]によると使用許可・届出事業者数は五、〇四六で、民間企業が一、九〇二、研究機関が八二五、医療機関が八〇八、教育機関が四六二、その他一、〇四九であった。最近は機関別の事業数は増減しているものの事業所の総数はあまり変化がない。東京(四六八)、大阪(三九二)、神奈川(三六五)、愛知(二五九)、茨城(二五〇)、兵庫(二三三)、千葉(二二〇)、埼玉(二〇七)、静岡(二〇七)、北海道(一九三)の順に事業所の数が多い。

 

 

 

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