日本財団 図書館


ルポ

 

摂津市消防本部(大阪)

018-1.gif

 

当本部は、大阪府の北部、三島平野の南西部に位置しており、市域は東西六km、南北五kmのL字型の地形で、人口約八万七千人、面積一四・八七km2を管轄している。市内からの景観は、北から西にかけて六甲山や千里丘陵ごしに北摂の山々を、東から南には、生駒や金剛の山並みを望むことができる。気候は瀬戸内式気候帯に属し、四季を通じて穏やかな自然条件に恵まれており、古くから農耕が盛んである。また、市南部には淀川が、中部では安威川が平行して流れており、大阪と京都を結ぶ水陸交通の要衝として重要な役割を担ってきた地域である。現在の主要交通網を見てみると、市北西部ではJR東海道本線と阪急京都線が、南部では東海道新幹線が共に東西を横切っており、また、市中央を南北に近畿自動車道と大阪中央環状線が通っている。大阪の中心部から約一〇kmという立地条件にある当市は、高度経済成長期から、大阪都市圏の発展とともに住宅・産業都市として人口が急増し続け、平成九年八月の大阪モノレールの開通を追い風にして、大阪の衛星都市として発展が著しい。

消防本部は、昭和四〇年一月一日に発足され、社会環境に対応すべく、組織の拡張、整備を重ねながら、現在一本部・一署・三出張所、消防職員九三人と消防団員三三七人が一致協力し、地域住民の安全を日夜見守っている。

★消防団と連携活動!

当市及び近隣市において、昨年の九月頃から多発した不審火と思われる火災は、本年一月末までに四二件を数えることとなった。平成一一年一〇月四日未明に発生した倉庫火災は、当市消防職・団員及び近隣市の応援隊を含め、約四〇〇人が出動し消火にあたるも、付近住民に一時避難勧告が発せられるなど鎮圧まで四時間を要し、約七、〇〇〇m2が焼損した。その後の犯人逮捕により、市民の不審火に対する憂慮は回復に向かったが、その間の市民の不安と、消防職・団員等の夜間巡回等の努力は並みのものではなかった。消防団においては、消防分団車両二九台の全ての車両に放送設備を積載し、それぞれの管轄区域をより細かく広報し、警戒にあたるなど、消防職員と連携し地域に密着した活動を行った。なお、深夜におよぶ巡回並びに消火作業等の功により、地元分団が「大阪の消防大賞」受賞の栄誉に浴したことは、当市消防団員の大いなる励みとなった。

★阪神・淡路大震災の教訓!

当本部では、未曾有の大震災を教訓とし、消火栓が使用不能になった時の水利確保に万全を期するため、平成八年にフロートポンプの導入を図った。これは、市域の特性である縦横に走る河川を利用した消火体制を確立するために、一署三出張所にフロートポンプ、一〇〇mmホース、搬送用トレーラーを整備したものである。消防職・団員による合同訓練においても、その有効性が確認されている。

★『創造と改革」の姿勢!

三宅消防長は、「全職員が創造と改革のもとに、一丸となって職務に取組んでいる。現在、消防の環境は、外では、複雑・多様・高層化している災害に対し、また、内では高齢・分業・広域化が進む中で円滑な対応が求められる状況にある。これらについては、ソフト面では、職員の各種方面の知識の向上、体力の維持管理及び適材適所の人事配置等の充実を図り、ハード面においては資器材の軽量化等の整備を継続していく。また、厚生の観点では、退職共済年金制度の改正に対処するため、再雇用制の早期実現に向けて努力しているところである。例示の他にも諸課題は山積しているが、一つひとつ創造と改革を旗標に的確な対応を図るとともに、職務に精励し、総合的に消防行政を推し進めていきたい。」と語られた。

(高田利広)

 

018-2.gif

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION