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ワンポイント

消防職員のための法令解説

 

情報公開法(三)

 

四 開示請求権者

情報開示請求権は、自然人だけでなく、法人にも与えられる。さらに、法人ではなく社団または財団で管理人の定めのあるものも権利を有する。

開示請求権は、行政機関の長に対し、当該行政機関の保有する行政文書の開示を請求できる権利である(情報公開法三条)。

情報公開法二条一項三号の「国家行政組織法八条の二の施設等機関及び同法八条の三の特例の機関で、政令で定めるもの」については、行政機関の長に該当するものが、必ずしも明確でないため、「政令」で、明確にすることになっている(情報公開法三条)。

 

五 開示請求の手続

開示請求は、開示請求書を、行政機関の長に提出してしなければならない(情報公開法四条)。

開示請求書には、

(1) 開示請求をする者の氏名又は名称及び住所又は居住、法人その他の団体にあっては、その代表者の氏名

(2) 行政文書の名称その他の開示請求に係わる行政文書を特定するに足りる事項を記載しなければならない(情報公開法四条)。

住所を必要としているのは、行政機関が、開示請求者と連絡をとるために必要だからである。

行政文書については、文書の名称が具体的に記載されていれば、文書の特定は、できると考えられるが、そうでなくても、請求をうけた行政機関の職員が、合理的に考えて特定できる程度の記載があれば、請求として、成り立つと考えてよいであろう。

開示請求の理由や目的は、開示請求書の記載事項ではないが、統計をとる必要などから、任意に、開示請求の理由、目的の記載を求めることは、許される。

開示請求は、書面で行う。口頭では、出来ない。郵送による請求も認められる。

行政機関の長は、開示請求書に形式上の不備があると認めるときは、補正を命ずることができる(情報公開法四条二項)。この場合、補正の参考となる情報を提供するよう努めなければならない。

 

六 行政文書の開示義務

行政文書の開示請求があったときは、行政機関の長は、一定の除外事由に該当するとき以外は、開示請求のあった文書を開示しなければならない(情報公開法五条)。

このように、行政文書の開示義務が定められると、行政機関の長は、一定の除外事由に該当しない限り、文書を開示しなければならないことになる。これは、行政機関にとっては、厳しい条文である。

行政機関としては、文書を作成する際に、当該文書を開示してもよいかどうかを判断し、非開示文書とする場合には、文書開示の一定の除外事由(情報公開法五条一号乃至六号)のいずれかに該当するのかをよく調査し、その要件をみたすように文書を作成すべきである。

一定の除外事由については、情報公開法五条の一号から六号までに定められ、それらに該当する文書については、開示義務のない文書になる。

 

全国消防長会顧問弁護士 木下健治

 

 

 

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