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二 事故概要

本件事故は、機械式駐車場内で発生したもので、本来稼働中であれば閉じているはずの駐車場入口部のドアが、何らかの原因により開いており、そこへ駐車待ちの車両が気付かずに進入し、車両を乗せるパレットを回転させる基礎部分に車両が乗り上げ、走行不能状態になってしまったところへ、パレットおよびキャレッチ(パレットの台でH型鋼材をロの字にしたもの・自重約二・五t)が降下し、ルーフ部分全体が押し潰され、車内で女性一名が脱出不能の状況となったものである。

 

三 救助活動状況

「ホテル併設立体駐車場内において車両が挟まり中に人がいる。」との指令により各隊出場した。現場は、ホテル裏側に併設された機械式駐車場であり、事故車両は、車両後部を駐車場入口側へ向け、ボンネットおよび後部座席部分全体が押し潰されている状況であった。車両内部を確認したところ、事故車両ルーフ上のキャレッチの中央部分が、へこんでいる状態であったため、運転席部分を囲むように車両が押し潰され、要救助者には特に大きな外傷等は認められなかったが、恐怖により緊張した表情で座席に横たわっていた。関係者から事故の状況および施設概要等について聴取するとともに、二次災害防止の徹底を図るため、当駐車場へ供給されている電源の停止を指示し、それを確認後、油圧救助器具および大型油圧救助器具のラムシリンダーを併用し、キャレッチの落下防止措置を実施した。さらに大型油圧救助器具のカッターを使用して、運転席側窓枠等を切断し脱出口の確保により女性一名を救出し、救助を完了した。

 

おわりに

今回の事故は、キャレッチ部分の形状により痛ましい事故の発生に繋がらずに済みましたが、当市で四箇所しか設置されていないという特殊な機械式駐車場であり、内部構造および重量等が判明しないため、二次災害の防止に細心の注意が求められた事例でありました。

今後、今回の事例を教訓として、さらに高度な訓練を重ね、地域住民の信頼と負託に応えることができるよう努力していく所存であります。 (石田外永)

 

予防・広報

だれもが安心して住める城下町を目指して

丸亀市消防本部(香川)

 

はじめに

丸亀市は、日本で一番小さい県である四国・香川県のほぼ中央に位置しており、北は瀬戸内海に面し、昭和六三年五月に本州と四国の最初の架け橋として完成した瀬戸大橋を間近に見、南には遠く阿讃山脈を望み、これを源として、東に一級河川である土器川、西には金倉川が、瀬戸内海国立公園に注いでいる水と緑の自然豊かな城下町です。東には名峰讃岐富士と称せられる飯野山(四二二m)が穏やかにたたずんでいます。

市街地を見下ろす亀山には、市民の心のより所である丸亀城が鎮座し、高さ日本一とも呼ばれる石垣は重厚な扇の勾配が美しく、ひときわ目を引いています。

また、金比羅参りの土産用に、武士の内職から始まったとされる「うちわ」作りは広く知られている本市の地場産業で、平成九年には国の伝統工芸品に指定され、現在も全国生産の九〇%の生産高を誇ります。

今日、四国は瀬戸三橋時代を迎え、高速自動車道が四県に開通、香川県も経済的、文化的な飛躍の時期となっています。

丸亀市は名実ともに県下第二の都市として、更に大きく発展しようとしています。

当本部は、昭和二七年六月に自治体消防として、一本部一署、職員一九名、消防ポンプ自動車四台で編成し、発足しました。

 

 

 

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