火災
物流センター倉庫火災について
長崎市消防局(長崎)
はじめに
当市は、九州の西端、長崎県の南部に位置し、市中心部は、鎖国時代わが国で唯一の貿易・文化の窓口として海外に開かれた海外貿易港として開港した長崎港を中心として南北に細長い平坦地に発達した。平坦地が少ないため、周辺の斜面地まで住宅が丘陵を這うように建てられた景観の中に往時を偲ばせる「大浦天主堂」「グラバー邸」などの洋館群が散在し、異国情緒を漂わせている。
当消防局は、人口四二万の長崎市が周辺一〇町一三万人の消防事務を受託し、総人口五五万人、管内面積五三四km2を本部五課・一室・一所、三消防署・一二出張所・五派出所、職員五二五人で防災の任にあたっている。
今回の火災事例は、長崎市の北部に隣接する長与町で平成一一年七月一九日に発生し、延べ九、五二七m2を焼損した倉庫火災について紹介する。
一 火災概要
(1) 火災発生日時
平成一一年七月一九日(月) 七時三五分頃
(2) 火災発生場所
長崎県西彼杵郡長与町岡郷 生活協同組合ララコープ物流センター
(3) 時間経過等
覚知 七時四〇分(一一九番)
現場到着 七時四五分
第二出動 七時四九分
空気ボンベ搬送及び空気充填車の出動要請 八時〇七分
鎮圧 八時三二分
鎮火 九時三五分
(4) 気象状況
天候 晴れ 風向 北 風速 毎秒〇・四m
気温 二七℃ 湿度 七四%
(5) 損害状況
鉄骨造鉄板葺二階建事務所併用倉庫延べ面積九、五二七・三一m2 一棟半焼
焼損面積 一、九七二・三五m2
損害額 一億四七九万円
(6) 負傷者 軽症 二人(消防職員)
(7) 出動車両及び人員
消防署隊 一六台 五五人
消防団隊 七台 一一九人
二 出火建物等の概要
出火建物は、生活協同組合の物流センターとして使用され、建物内には冷凍・冷蔵室、荷捌き場、事務室、会議室等が設けられている。
本火災は、二階に保管されていた多量の発泡スチロール容器(シッパー)が燃焼し、延焼拡大したものである。
出火原因としては、発泡スチロール容器を強化ポリエチレンフィルムを袋状にして包む機械(ジェットフィッター)の操作盤内電気配線接続端子部の締め付けが経年使用或いは稼働時の振動により緩み、局部発熱、又はスパークが発生し電線被覆に着火したものと考えられる。
焼損面積及び損害額が増大した要因としては、発泡スチロール容器への着火後、延焼が速く、また、濃煙が消防活動を阻害するとともに、商品等に多大の損害を与えたことが掲げられる。
三 活動概要
七月一九日午前七時四〇分一一九番通報を受け、指令課は第一出動を指令する。
現場は、最寄りの出張所から北東方向三kmに位置し、出張所長は、出動直後、現場方向に黒煙の上昇を認め、炎上火災の旨、指令課へ報告する。
到着時、倉庫二階の窓は破損し、猛烈に火煙が噴出し、従業員が屋外消火栓により初期消火中であった。
関係者に要救助者等が居ないことを確認すると共に隣接建物に延焼の恐れが無いことを確認し、出火建物の消火活動をおこなう。