日本財団 図書館


また、この研究では消防隊員の活動能力が体脂肪率(身体の中の脂の割合)の増加とともに低下することも報告しており、余分な体脂肪の蓄積は消防活動にはマイナスであるとも報告しています。また我々の行った研究でも消防隊員は加齢とともに体脂肪率が増加する傾向にあり、五〇歳を超えるとその平均値は厚生省の肥満基準である体脂肪率二〇%を超え、それにともなって血液検査データ等の医学的検査の異常値の出現率が高くなっていました。

これらのことから消防隊員に求められる身体的資質としては、特に体幹部(身体の幹となる部分)及び下肢の筋持久力並びに全身的なスタミナが重要であり、身体活動性並びに健康度の両視点からみて余分な体脂肪の少ない筋肉質な身体が望ましいと言えます。

では、ここで消防隊員のためのフィジカルコンディションの具体的内容をまとめておきましょう。

 

<実践したい体力トレーニングプログラム>

プログラムは定期的に、仲間をつくって楽しく実践する。

一 体幹部の強化

・上体起こし

・背筋運動

二 足腰の強化

・スクワット

三 全身的なスタミナ強化

・ジョギングを含むランニング

・サイクリング

・その他のエアロビックエクササイズ

四 その他の体力強化

・懸垂

・腕立て伏せ

・バーピー

・ダンベルエクササイズ

・グリッピング

・縄跳び など

(注:ここでは特別なトレーニング機器並びに用具を使用せず、比較的少ないスペースでまた身近かにあるものを用いて行うプログラムを提示した。)

 

<その他のフィジカルプログラム>

・ストレッチングプログラム

朝夕、訓練の前後、比較的強い訓練や消火・救助活動を行った翌日の朝などに力まず、ゆっくり実施することが重要。

 

<実践したいライフスタイル改善プログラム>

全部実践することはありません。出来ることから実践してみることが重要。

継続は力なり。

〔栄養・食事等に関して〕

・朝食を毎日食べる。

・間食をしない。

・栄養のバランスを考える。

・野菜や果物を毎日食べる。

・大食いをしない。

・油っこいものを避ける。

・インスタント食品を常食しない。

・寝る前にカロリーの有るものを食べない。

〔その他〕

・規則正しい生活をする。

・一日平均七、八時間は眠る。

・過度の飲酒はしない。

・禁煙する。

・適正な体重を維持する。

・ストレスを貯めない。

・疲労を蓄積させない。

・くよくよしない。

参考文献

伊藤昌夫、正木豊、小原朗敬:消防隊員の体力管理に関する研究(消防活動に適した体力のあり方)、消防科学研究所報、No.36、1999

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION