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ワンポイント

消防職員のための法令解説

 

情報公開法(二)

 

三 開示請求権

行政文書の開示について、誰が開示請求権を有するかは、法定立に際して、いろいろ議論があるところである。

情報公開条例では、住民、利害関係人に情報開示請求権を与える条例や、「何人に」も情報開示請求権を与える条例がある。

情報公開法は、「何人も」情報開示請求権を有すると規定した(情報公開法三条)。

「何人も」情報開示請求権を有するということは、日本国民だけでなく、外国人も含まれる。この場合、日本に在住する外国人だけでなく、外国に居住する外国人も含まれる。

情報公開法は、国民主権の理念にのっとり制定されている(情報公開法一条)ので、開示請求権者を、国民に限るとする法制定も考えられるが、本法律は、国際協調主義の立場から、外国人に情報開示請求権を与えたものであろう。「情報開示請求権」は、法律により「権利」として与えられているので、正当な理由なく、「情報開示」が認められなかった場合には、訴訟を提起して、情報公示の違法性を争うことができる。 (次号に続く)

 

「三〇〇号記念」“ほのお”と共に

 

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全国消防長会顧問弁護士

木下健治

 

“ほのお”発行、三〇〇号記念をお祝いします。

二〇〇号記念が、九二年二号で、「二〇〇号記念“ほのお”とともに」を執筆したが、もう三〇〇号になり、月日の早さを実感する。

二〇一号からの「ワンポイント」は、「消防職員のための法令用語解説」又は、「消防職員のための法令解説」として、親族法、相続法、行政手続法、借地借家法、地方分権推進法、地方分権推進計画、裁判所、調停、和解、地方分権推進一括法による地方自治法改正、情報公開法等について執筆した。これらの法令用語や法令は、時代の流れを感じるものもある。

ワンポイント以外の論文では、九二年七号から八号に「防火管理の刑事責任について」、九三年七号から九号に、「防火管理の民事責任」、九四年七号に、消防紛争事例解説で救急に関する解説、九五年七号に、消防紛争事例解説として防火管理指導に関する解説、九七年二号と七号に消防行政紛争事例解説として火災原因調査に関する解説、九九年一号と二号に消防実務に係る紛争事例解説として警防に関する解説をのせている。これらの論文が、実務上、参考にされていることに感謝する。

これらの論文の多くは、二〇〇号までの論文とあわせて、現在、「火災・消防事例判例解説」、「消防行政・防火管理の法律問題」(増補改訂版)、「ワンポイント消防職員のための法解説(第二次増補改訂版)」の三冊にまとめられ、これらの本も、実務によく利用され、著者としても嬉しく思つている。さらに、もれている論文も追加して、今日の時代に役立つものにしたいと思っている。

地方分権の推進、情報公開の流れ等、最近の一連の動きは、行政に、透明、公正性を求め、地方自治体や住民の自己決定権を重視する傾向になっている。消防行政も、住民に身近な行政として、益々重要性を増している。

今後も、“ほのお”が、消防行政にとって、貴重な文献として役立つよう執筆者として努力したい。

 

 

 

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