間もなく分署車両や分団車が順次到着し、消火活動は終盤を迎えた。
火災終期になってから「不明者が一名いる」と現場指揮者から指示があったので検索と消火の同時進行となったが、鎮火までに不明者の発見には至らなかった。
鎮火後、更に不明者の検索に当たった結果、出火地点と思われる付近で焼死者一名を発見した。
四 延焼拡大要因
(1) 西風が強く通報者も一軒隣から黒煙と炎を発見してから通報しており、通報が大幅に遅れた。
(2) 度重なる増築の為、建物内部が複雑で在室居住者がいたにもかかわらず、内部からの早期発見ができなかった。
(3) 古い木造アパートのため、延焼速度が速かった。
おわりに
本火災は、アパートの管理人が出火当時に入居者数を正確に把握していなかったことから情報提供に時間がかかり、結果的に焼死者が一名発生した痛ましい事案でありました。
消防署、消防団の各隊が連携し、消防活動を展開した結果、包囲隊形を完成させたことが隣接住宅への延焼を食い止められたことに繋がったものと思われます。
このアパートは、木造で老朽化が進んでいることに加え、高齢者が入居していることから消防本部では、防火管理の徹底と消防用設備等の設置、維持管理について再三に亘り指導を行ってきました。
教訓として共同住宅への査察の重要性をあらためて認識させられ、類似形態の建物所有者に対してこれまで以上に防火管理等について指導を強化する方針であります。 (大沢秀高)
救急・救助
高規格救急車の運用状況
浦添市消防本部(沖縄)
はじめに
本市は、沖縄本島南部に位置し、東シナ海に面する西海岸沿いにあって、東に西原町、南に那覇市、北東に宜野湾市が隣接している。市域(飛地を含む。)は、東西四・八km、南北四・六kmで北を頂点として南西と南東に広がった扇状の形をしている。管内の面積は一八・九四km2、人口約一〇三、〇〇〇人である。
当本部は一署二出張所に九四名(事務職二名を含む。)の職員が職務を遂行している。
一 救急体制の概要
平成八年に一台目の高規格救急車が配備されてから本年二月までに計三台が導入され、現在は各署所に一隊ずつ配置(本署隊専属、他二隊兼任)し、計二七名により活動している。平成一一年中の出場件数は、二、六三七件であり一日当たり平均七・三件で年々増加の傾向にある。救急救命士は、平成一二年四月現在一二名(うち管理職一名)おり、本署救急隊と各出張所救急隊にそれぞれ配置され活動している。
救急出場については、管内を三管轄に分け出場し、一一九番通報時に、呼吸停止が確認された場合(疑いを含む)は管轄救急隊と本署救急隊のペア出場により迅速な救命処置が実施できる体制をとっている。
二 特定行為運用について
平成一〇年四月から市内二次救急医療機関との提携により、県内二番目に救急救命士による特定行為が開始された。当初は二部制一署一出張所で一隊に救急救命士を各二名配置し実施していたが、平成一一年四月から三部制を試行、本年四月に本実施となり、救急救命士も増員され現体制となった。特定行為の実施状況については以下のとおりとなっている。
(1) CPA実施件数