日本財団 図書館


010-1.gif

 

火災

老朽共同住宅全焼

鷹巣阿仁広域市町村圏組合消防本部(秋田)

 

はじめに

当消防本部は、秋田県北部の中央に位置する鷹巣町にあり、県北の空の玄関あきた北空港を有し、又、日本海沿岸道の工事も着々と北上し、交通網も整備されつつあります。

良質な秋田杉の産地として知られる米代川流域で綴子地区の大太鼓は七〇〇年の伝統を持ち一番大きいもので直径が三・八〇m、胴の長さが四・五二m、重さが三・五tもあり、二番目に大きい直径三・七一mの大太鼓がギネスブックで世界一の認定を受けています。

又、森吉町には標高一、四五四mの森吉山がそびえ、広大なブナ原生林には天然記念物のクマゲラが生息し、山頂部一帯は可憐な花が咲き誇り「花の一〇〇名山」の一つとして親しまれ、平成一〇年に第一二回日本ジャンボリー会場にもなりました。

当組合は、鷹巣町、森吉町、阿仁町、合川町、上小阿仁村の四町一村で構成され、組合の共同処理する事務は、消防・救急を始め、クリーンリサイクルセンター、道路管理センター、軽費老人ホームや特別養護老人ホームなどの管理運営が主な事務となっています。

消防体制は一本部一署四分署で職員数九四人、管轄面積一、四〇九・三九km2、人口四七、二〇六人であります。

 

一 火災の概要

(1) 出火日時 平成一〇年一二月一七日(木)一六時一二分頃

(2) 出火場所 秋田県北秋田郡鷹巣町綴子字古関九七−三

(3) 覚知時間 一六時一七分(一一九番)

(4) 鎮圧時間 一七時三一分

(5) 鎮火時間 一八時〇三分

(6) 気象状況 天候曇り、風向 西、風速四m、気温氷点下三℃、積雪無、相対湿度四四%

(7) 被害状況

人的被害 死者一名(入居者) 傷者一名(消防団員)

焼損物件 木造二階建共同住宅一棟五四一m2全焼

罹災世帯 一五世帯

罹災人員 一七人

損害額 八、〇三一千円

(8) 出火原因 調査中

(9) 出動車両及び人員

消防署車両 九台 署員三六名

消防団車両 六台 団員七五名

(10) 消防水利の状況(半径一〇〇m以内)

公設消火栓 三基

打込式消火栓 二基

 

二 付近の状況

現場は鷹巣阿仁広域消防署から東へ約二kmに位置し、市街地内の建物が密集しているところである。

同地区は主要地方道から現場に通じる道路が狭隘で消防車両の通行に支障があり、対面通行はきわめて慎重を要する。

出火した共同住宅の建物周囲には、老朽住宅が密集し、防ぎょ活動上困難を要する危険区域とされている。

 

三 活動概要

(1) 先着隊現場到着時の状況

先着隊が現場到着時には、西寄りの風が強く、出火建物は火災中期で黒煙と炎が盛んに噴出し、東側へなびいている状況であった。

さらに出火建物は、南側に向かって激しく延焼中であり、東側と西側の隣接建物が接近していることから、延焼危険大の状況であった。

(2) 消防活動状況

全分署に出動命令、消防団へ出動増強を要請した。

先頭のタンク車は直近の消火栓に部署、後続のタンク車はポンプ車から中継を受けて消火活動に入るも火勢が強く、住家が隣接している東側と西側を主に筒先を配備し、延焼防止に当たりながら屋内進入するのが精一杯であった。

消火活動中にアパートの住民から「全員避難した」との情報を得たものの検索は続行した。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION