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財団法人 全国消防協会 会長 池田春雄

 

「ほのお」三〇〇号の発刊に際して

 

本協会発行の「ほのお」が、本六月号をもって通巻第三〇〇号を発刊する運びとなりました。

ご承知のとおり「ほのお」は、消防を取り巻く諸課題について、お互いに情報交換を行いながら、知識や技術の向上に努めなければならないとの気運の高まりを背景に、昭和五〇年七月、「消防職員のための機関誌の発行を」という強いご要望により創刊されたものであります。

以来、二五年の長きにわたり、会員の研究・教養誌として、学識経験者による消防関係資料の紹介や法令等の解説、全国各地で発生した災害事例、更には、各都市における消防情報の提供等を中心に編集発行してまいりました。

この間、本協会事業の充実を図り、また、「ほのお」をご愛読いただきます会員も、現在では一五万余名を擁するまでに発展してまいりました。

本協会の発展はもとより、ここに「ほのお」の記念すべき第三〇〇号を発刊できますことは、誠に慶びにたえないところであります。これもひとえに会員皆様をはじめ、関係各位の絶大なるご支援・ご協力の賜物と、お礼申し上げる次第であります。

さて、今日の消防行政を取り巻く環境は、行財政改革、規制緩和や地方分権の推進、少子高齢化の本格的な到来、あるいは住民ニーズの多様化等により新たな課題が提起され、これまで以上に質の高いきめの細かな対応が求められております。

一方、災害の態様も、都市化の進展、生活様式の多様化などにより潜在的な危険性が増大し、複雑かつ大規模化する傾向を強めております。

このような状況の中、地域住民の安全に対する関心は一層高まっており、消防に寄せる期待はより大きなものとなっております。

本協会では、これまで消防職員の消防活動技術、予防行政能力等の向上を目的とした消防救助技術指導会や警防・救急・予防・広報の各講習会、消防機器の改良開発の研究奨励など、各種事業を積極的に推進し、多大の成果を収めてまいりました。

また、昭和四七年から実施しております全国消防救助技術大会は、来年第三〇回の記念すべき節目を迎えるところであり、その成果は、国内の災害現場はもとより海外の地震災害等においても「国際消防救助隊」として大いに発揮されております。

昨年は、南米コロンビアをはじめ、トルコ共和国、台湾と甚大な被害をもたらした大地震が相次いで発生いたしましたが、その都度、国際消防救助隊がいち早く派遣され、なかでもトルコ共和国の地震災害では、過酷な活動環境の中、卓越した救助技術を駆使して、海外派遣を開始以来はじめて生存者を救出するという快挙を成し遂げ、国内外から高い評価と信頼を得たところであります。

今後とも、本協会といたしましては、各種事業を積極的に推進し、消防職員の資質の向上はもとより、消防の発展及び地域杜会の安全確保に努めるとともに、「ほのお」の内容の充実を図り、研究・教養誌としての使命を果たしてまいる所存であります。

結びに、本協会のますますの発展と円滑な運営、並びに「ほのお」に対する皆様のなお一層のご支援・ご協力をお願い申し上げまして、第三〇〇号発刊に際しての言葉といたします。

 

 

 

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