日本財団 図書館


ワンポイント

消防職員のための法令解説

 

情報公開法(一)

 

一 情報公開法の制定

平成一〇年三月、内閣から「行政機関の保有する情報の公開に関する法律案」が国会に提出された。同法案は、平成一一年に、与野党の修正案に基づく修正のうえ、平成一一年二月一六日に衆議院で可決され、さらに、四月二八日、参議院で与野党の修正案に基づき附則を修正したうえ可決され、再送付を受けた参議院で、平成一一年五月七日に可決成立し、同年五月一四日に公布された。同法は、大部分の規定が、公布の日から起算して、二年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する(同法附則第一項)。

地方公共団体の保有する情報については、かなりの地方公共団体で、情報公開に関する条例が制定、施行されており、情報公開が進んでいるが、国の行政機関の保有する情報についても、本法により、公開の対象となるものである。

 

二 情報公開法の目的

情報公開法の目的は、国民主権の理念にのっとり、行政文書の開示を請求する権利について定めること等によって、行政機関の保有する情報の一層の公開を図って、政府の諸活動を国民に説明する責務が全うされるようにするとともに、国民の的確な理解と批判の下にある公正で民主的な行政の推進に資することである(情報公開法一条)。

情報公開については、国民の知る権利を保障するためになされるかどうかが一つの問題点で、地方公共団体の条例の中には、住民の知る権利について明記しているものもある。

しかし、「知る権利」については、まだ、その概念が明確でないこともあって、情報公開法では、とり入れていない。

情報公開法では、政府の「説明責任」を前面に打ち出してきている。その根底にあるのは、国民主権の原理から、国民に対し、政府の活動の説明責任があるというものである。アカウンタビリティ(説明責任)が、諸外国の情報公開法にとり入れられているのも、規定のもとになっている。

 

三 情報公開法の用語の定義

情報公開法では、用語の定義として、いくつかの定義規定をおいている。

まず、「行政機関」について、法律の規定に基づき内閣に置かれる機関及び内閣の所轄の下に置かれる機関、国家行政組織法三条二項に規定する国の行政機関として置かれる機関、同法八条の二の施設等機関及び同法八条の三の特別の機関で政令で定めるもの並びに会計検査院をいうとされている(情報公開法二条一項)。

国家行政組織法三条二項に規定する行政機関は、府、省、委員会及び庁であり、同法八条の二の施設機関とは、同法三条の各行政機関が設置する試験研究機関、検査検定機関、文教研修施設、医療更生施設、矯正収容施設及び作業施設である。同法八条の三の特別の機関とは、法律の定めるところにより設置される機関で、警察庁、検察庁等がある。

このように定義された行政機関の保有する文書が、情報公開の対象となる。

国会や、裁判所は情報公開法の対象機関に含まれていない。

地方公共団体の条例では、議会の保有する文書を、公開の対象としているところもある。

国会や裁判所の保有する文書の公開は、今後の課題である。

 

全国消防長会

顧問弁護士 木下健治

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION