また、この事故により他の車両の運転手及び同乗者の一四名が負傷(いずれも軽傷)し、天理市内の病院へ搬送したものである。
おわりに
今回紹介した名阪国道は、奈良県北部を東西に横断する自動車専用道路で産業道路とも言われ、わが国の高度経済成長期の昭和四〇年に開通し、当時三年で工事が完了したことから、千日道路と呼ばれている。本国道を三重県側からみると県境となる名張川から大和高原に掛けては急な登り勾配で、その先の奈良盆地に至る道路は高低差四五〇mもある急な下り勾配となっておりこの付近は、大事故が発生しやすい道路である。また名阪国道への接続は東側は東名阪自動車道及び伊勢自動車道、西側は西名阪自動車道と接続されている関係上運転手も高速道路と思いがちになり制限速度を超えた運転となっているのも事実である。起伏の激しい道路に加え制限速度を超えた運転により運転手の判断を迷わす迷判国道となっている。一日の通行量は五万台を超え、拡幅工事等が各区問で毎日のように行われ交通渋滞が続き、今回と同様の事故が発生する可能性が高く、また事故により車両から燃料等が漏れ火災となることも考えられ、各隊員は緊張の中で如何なる事故に対しても安全かつ迅速な活動ができるよう日々訓練に励んでいる。
(水口一宏)
予防・広報
地域と育む防災の輪
千歳市消防本部(北海道)
はじめに(千歳市の紹介)
市域は、東西に長く西高東低の地形になっていて、西部は、周囲四〇kmを有する国立公園支笏湖を含み道央の温泉のあるレクリエーションの場として賑わっています。
中央部はほぼ平坦地で市街地をはじめ工業団地、飛行場、自衛隊駐屯地、農用地などに利用され、東部は丘陵地帯で農林業に活用されています。
北海道の空の玄関「新千歳空港」を有し、平成六年に日本初の二四時間空港として運用を開始し、今後は大圏航路で北米・欧州に至近という地理的優位性を生かし、旅客便の就航と貨物需要の喚起などから日本の本格的なハブ空港を目指しています。都市間輸送を担うJR千歳線は、市街地において高架化されたJR北海道の幹線で、空の連絡鉄道としての性格を帯びています。又、国道・高速自動車道なども整備が進められ隣接の苫小牧、室蘭には特定重要港湾があり、千歳市は八九、〇〇〇市民を有する北海道における「陸・海・空」をジョイントする一大交通拠点です。
当消防本部は、一本部一署五出張所、職員一二八名で市内地域の安全のため日夜消防業務に励んでいます。広報業務として春、秋、歳末の市民火災予防運動・危険物安全週間の機会を捉え、市民や各事業所に予防広報用のチラシやポスター・「消防だより」等を配布し、火災予防の啓発を図り一件でも火災が発生しないよう広く呼び掛けています。
市民に火災の恐ろしさ、命の尊さを各地域で身近に関心を抱いていただくために消防の縁の下の力持ちである各協力団体についてご紹介します。
一 干歳危険物安全協会
昭和四八年、市内における危険物取り扱い所、販売店等がお互いに協力しあって災害を未然に防ごうと設立しました。現在、正会員、賛助会員を合わせて一二一事業所で組織され危険物取り扱い者育成や講習会の開催、研修等を実施しています。又、危険物安全週間に合わせて危険物の保安に対する意識の高揚と啓発を推進するため貯蔵、取扱いに関する標語、およびそれに因んだ絵を募集しポスターを作製しています。この事業は、一八年間に渡り市内の各事業所等にポスターを配布して高い評価を得ています。