関東地区調査担当係長会議の開催結果について
東京消防庁 予防部調査課
平成一二年三月一四日東京において第七回関東地区調査担当係長会議を開催しましたので、その概要について紹介します。
一 会議の目的
本会議は、平成六年の火災報告取扱要領の全部改正及び製造物責任法の施行を契機に火災調査を取り巻く社会動向等への対応、各消防本部間での情報交換の場として平成六年から東京消防庁が中心となり実施しています。(別表参照)
二 参加本部の状況
本会議では、実務面に重点を置くという意味合いから、全国消防長会の関東ブロック地域内にある消防本部のうちでも「調査係長」を置く消防本部に対象を絞って開催しています。最近では、火災調査業務への関心の高まりもあって、回を増すごとに参加本部数、参加人員ともに増加しており、今回は五〇消防本部から八〇名が出席されました。
三 会議の内容
(1) 議事
ア 銀行の強盗放火事件に伴う火災損害の認定(甲府地区広域行政事務組合消防本部)
強盗放火事件により銀行内で取扱中の現金が焼損した場合の火災損害認定の取扱要領であり、類似したケースとして有価証券、切手や印紙などが焼損した場合、貴金属や書画・骨董品等の損害額の算定、フロッピーディスク等に収録されたデータ等が焼失した場合など様々なケースの取扱要領等について、各本部から活発な意見交換がなされました。
イ 小規模消防本部における火災原因調査の取組(稲城市消防本部)
火災原因調査体制の充実強化策として、自己本部で取り組んでいる具体策の紹介であり、パソコンやCADの導入による火災調査書類の簡素・合理化、原因究明に際しての情報データベースの活用策、電気器具の鑑識手法として市立病院のレントゲン装置を活用するなど、創意工夫による調査体制のパワーアップと調査員の知識技術の向上策、調査書類の迅速化等、実務に密接した内容が報告され、参加者からは具体的なノウハウで大変参考になったと意見が寄せられました。
(2) 情報提供
ア 作業場の大規模火災事例(浦和市消防本部)
イ 新宿思い出横丁の火災事例(東京消防庁)
ウ 火災に伴う判例事例(東京消防庁)
エ 火災調査室からのお知らせ((財)消防科学総合センター)
四 おわりに
昨今の火災調査業務を取り巻く社会動向は大きく変化しています。これに対応するためには各消防本部の火災調査体制の充実と調査員の知識技術の向上を図ることは勿論でありますが、本会議のように火災調査現場の一線に立つ者同志が生の声を交換できる機会は非常に有意義であることから、今後は「調査係長」という枠に止まることなく、各本部の更なる火災調査技術レベルの向上と情報交換の場として、本会議のあり方を再検討していく必要があると思われます。