(5) 人口三〇万を超える市街地における署所の設置数及び消防ポンプ自動車の配置台数の算定にあたっては、改正前の基準では、市街地を分割する場合の人口規模を任意としていましたが、これを三〇万を単位とした部分とその残余の部分に分割して、それぞれ別表に規定する配置数を合算した数を基準とし、諸事情を勘案した数とするとしています。なお、残余の部分が人口七万未満となった場合は、別表第五による基準としています。(第四条)
(6) 準市街地における火災の延焼危険は、市街地とほぼ同様であるという考え方にたちながら、ある程度人口規模に応じた消防力の段階的な算定を行い、別表第六を定めています。また、配置された動力消防ポンプの管理については、署所が準市街地に設置された場合であっても、当該署所に動力消防ポンプが配置されるとは限らないことから、地域の実情に応じて署所又は消防団が管理するとしています。(第五条)
なお、「地域の実情」とは、火災等の災害の発生頻度及びその態様、災害が発生した場合の消防活動の困難性、消防団の施設設備の整備状況、現に保有している消防力の状況等が該当します。
今回の改正によって市街地に該当しない地域における署所の設置、市街地及び準市街地に該当しない地域における動力消防ポンプの配置、化学消防車を消防ポンプ自動車とみなす場合の換算、特殊車等の配置、非常用消防自動車等の配置、広域的な災害等の拡大を防止するための防災上必要な資機材及び施設の備蓄等についても、地域の実情に応じて判断するという規定にしています。(第六条、第一一条、第一六条第一項、第一七条第一項、第二一条、第二四条第三項、第三〇条第七号)
(7) 市街地に該当しない地域にあっても、消防需要に応えるために署所、救急分遺所等は設置されることがあり、こうした地域の実情に応じた市町村の弾力的な判断を基準上明確に位置づけています。(第六条第一項)
(8) 市街地及び準市街地に該当しない地域における動力消防ポンプの配置数は、改正前の基準では人口規模によって口数により規定していましたが、こうした地域にまで一律の基準を規定することは実際的でないことから、地域の実情に応じて市町村が全面的に判断できるとしています。(第六条第二項)
(9) ホテル、旅館、その他の宿泊施設の数の市街地又は準市街地の人口に対する割合が著しく大きい場合、人口を補正するために用いる算式を最近の資料により改めるとともに、対象となる施設を消防法施行令別表第一に定める(五)項イの用途に明確化して規定しています。(第七条)
(10) 市街地に該当しない地域における消防力として、改正前の基準では、消防団常備部についても規定していましたが、消防団常備部が社会的変化の中で既に見られなくなったことなどから、これに関する規定を削除しています。(改正前の基準第二条、第七条、第八条、第一四条、第一七条、第一八条、第二二条)
(11) 中高層建築物は、建築構造や消防用設備等の設置によって一定以上の避難性や消防隊の活動性が確保されていること、救助活動においてある程度の時間的余裕が得られること等の理由から、はしご自動車又は屈折はしご自動車の配置は消防署を単位とし、隣接する消防署及びその出張所に配置された当該車両の出動によって、火災の鎮圧等に支障がない場合は配置を要しないとしています。(第八条第一項)
(12) 消防用自動車等及び特殊車等の管理については、改正前の基準では署所又は消防団が管理すると規定していましたが、全国的に消防の常備化が進展したこと、当該車両に積載されている装備は高度化して消防団が管理することは実際的でないこと等の理由から、消防ポンプ自動車を除いて署所が管理することに改めるとともに、特に救助工作車、特殊車等は、消防本部が管理していることもあることから、消防本部又は消防署が管理するとしています。(第八条第二項、第九条第三項、第一〇条第三項、第一三条第二項、第一五条第三項、第一六条第二項)
(13) 化学消防車の配置台数は、危険物の製造所等の五対象施設(製造所、屋内貯蔵所、屋外タンク貯蔵所、屋外貯蔵所及び一般取扱所)の数を基準として、市町村に存する製造所等の数、規模、種類等を勘案して定めることとし、消防ポンプ自動車に泡を放出することができる装置、具体的にはラインプロポーショナーを備えた場合、化学消防車の台数を減じることができるとしています。(第九条)