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ワンポイント

消防職員のための法令解説

 

地方分権一括法による地方自治法改正(三)

 

六 法定受託事務に関する関与

法定受託事務に関する関与としては、

(一) その適正な執行の確保に国として高い関心と責任を有することから、関与の手段として、強い態様の関与を認めた。

(二) 法定受託事務に関する関与の基本類型である、ア 助言、勧告 イ 資料の提出の要求 ウ 協議 エ 同意 オ 許可、認可、承認 カ 指示 キ 代執行 以外の、その他の類型の関与は、できる限り設けないこととした。

 

七 手続ルールの創設(公正、透明の原則)

関与について、公正の確保と透明性の向上に資するため、行政と国民の関係について制定された行政手続法の考え方にならい、

ア 書面主義の原則

イ 許認可等の審査基準の設定、公表

ウ 届出の到達主義

等の手続ルールを規定した(自治法二四六条から二五〇条の六)。

 

八 係争処理制度の創設

国等と地方公共団体との間に、関与をめぐって係争が生じた場合に、それを解決する仕組みを創設した(自治法二五〇条の七から二五二条)。

即ち、

ア 国地方係争処理委員会(自治法二五〇条の七から二五〇条の二〇)

イ 自治紛争処理委員(自治法二五一条から二五一条の四)

そして、最終的には、一定の場合に、訴訟によって係争を解決することができることになった。

即ち、

ア 国の関与に関する訴え(自治法二五一条の五)

イ 都道府県の関与に関する訴え(自治法二五二条)

 

九 その他の改正

その他の改正として、

(一) 地方議会の議員定数の規定が改正された。

議員定数は、人口区分によつて、大括りし、上限を定め、その範囲内で、条例で定めることになった(自治法九〇条、九一条)。

(二) 地方議会の活性化に関する改正

議員の議案提出権について、議員定数の一二分の一以上の賛成があれば、提出できることとなった(自治法一一二条二項)。修正動議も同様である(自治法一一五条の二)。

(三) 特例市制度の創設(自治法二五二条の二六の三)。

ア (趣旨、目的)政令で指定する人口二〇万以上の市に対して、都道府県で処理していた一定の事務権限を一括して委譲するものである。これを特例市とする。

イ (監督)特例市への監督について規定した(自治法二五二条の二六の三第二項)。

ウ 特例市の指定に係る手続規定を設けた(自治法二五二条の二六の四)。

(四) その他、自治法について、若干の改正が行われた。

(自治法改正の稿 完)

 

全国消防長会

顧問弁護士 木下健治

 

 

 

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