先着隊は火災現場から約五〇〇m手前で黒煙から多量の炎が出ているのを確認、火災規模から長時間の消火活動を要すと判断して、第二出場を発令、非番職員及び消防団の南部方面隊(四分団)を非常召集した。
(二) 消防活動状況
現場到着時、第一圧延工場の西側屋根及び壁はかなり破損していたが、その部分は煙が充満しているだけで、炎は隣接のスクラップヤードから吹き上げていた。
現場では、まず救急隊に事務所前にいた負傷者四名を病院へ搬送させた。
消防隊は、タンク二号車を水槽に部署させ、タンク一号車に中継送水実施、火点に直近部署したタンク一号車から同時二線延長による消火活動を開始した。
火元スクラップヤードで実際に燃えているものは、プレスされた車等の中にあるタイヤやプラスチック、ビニール等で黒煙が相当発生しており、なかなか火炎を抑えることは困難であった。
このため、後続隊による包囲作戦を実施することとしたが、同工場内で有効な水利は、先着消防隊が部署した水槽しかないため、工場西側に接する海からの取水を決断、後続する各分団車を適宜、岸壁に水利部署させ、非番消防隊が運用する消防車へ中継送水を開始した。
また、指揮本部は非番消防隊が運用する高所放水車で、上方から火元に対して多量の放水を実施、一方地上においてはユンボ等の土木建設機械を使用して多量のスクラップの山を崩しながら、放水を繰り返して消火作業を行った。
この結果、火災が発生して約二時間半後に火勢抑圧、延焼を阻止し、九時四〇分に鎮火を確認した。
おわりに
本火災は製品にならない溶融した高温の金属を冷却処理する作業中に水蒸気爆発が発生、溶融金属がスクラップヤード側に飛び散り、その中にあった可燃物に着火、延焼拡大したという非常に特異な火災である。
出火建物は危険物一般取扱所であったが、幸いにも危険物を全く取り扱っていない場所で出火し、しかも早期の非常召集及び消防団との連携が一体となって、被害を最小限度にとどめることができたと考えられる。
しかし、事業所からの一一九番通報が遅れたことにより、初期体制が遅れたことも事実であり、そのため消火活動に四時間以上も要しており、今後同事業所に対して、徹底した指導を行う必要がある。
(山下信次)