本日、ここ熊本市において第二九回全国消防救助技術大会を開催いたしましたところ、消防庁長官殿、日本消防協会会長殿、熊本県知事殿、熊本市長殿をはじめ、多数のご来賓のご臨席を賜り、このように盛大に開会できますことを厚くお礼申し上げます。
さて、この大会は、各種災害から地域住民の安全を守るため、全国の救助隊員が一堂に会して、お互い習得した救助技術を披露するとともに、相互に交換並びに研さんすることなどを目的として、昭和四七年以降日本財団の助成を受けて毎年実施しているところであります。
これまでにおける、隊員の皆さんのたゆまぬ訓練・研究はもとより、関係各位の救助資機材等の改良・開発など、多大なご尽力により、我が国の消防救助技術は大きな充実・発展を遂げてまいりました。さらには、本大会を通じて、隊員相亘の友好の輪が拡がり、大きな成果を挙げているところであります。
そしてその成果は、国内での災害現場はもとより、国際消防救助隊の活動においても、その実力を遺憾なく発揮し、昨年のトルコ共和国での地震災害においては、生存者を救出するなど、国内外からも高い評価と信頼を得ているところであります。
しかしながら、近年の災害態様は、都市化の進展、生活様式の多様化などに伴い、各種災害・事故の潜在危険が増大し、本年三月の地下鉄脱線衝突事故の発生、あるいは、北海道の有珠山噴火災害や伊豆諸島における火山活動、並びに一連の群発地震の発生等、大規模かつ予想しがたい災害が発生しております。
このような状況の中、我々消防機関の行う救助業務は、今までにも増して広範多岐におよび、より高度な知識、技術と迅速な対応が求められるなど、地域住民の期待は一層高まっております。
全国各地区支部から選抜され、本大会に参加している隊員の皆さんは、さらに実践的な訓練を積み重ね、あらゆる災害に即応できる技能と強靱な体力の習得に、一層努めるよう切望するものであります。
また、ここ“火の国”熊本市における二〇世紀最後の記念すべき大会で、日頃の訓練成果を遺憾なく発揮し、所期の目的が達成されるよう健闘を期待しております。
結びに、本大会の開催にあたり、特段のご高配を賜りました熊本市ご当局並びに熊本市消防局をはじめとする熊本県実行委員会の皆様に、心からお礼申し上げますとともに、ご列席の皆様のますますのご健勝を祈念いたしまして、挨拶とします。