この作業を開始するや、直ちに、OECDは、国際規格を使用することの経済的利益を確認する証言を行っている。それぞれに異なった国家の技術規則が独立して存在することは、高価なものにつく。
しかし、実際に国家規則に国際規格を使用することは、必ずしも容易なことではない。例えば、
・その名前で世界的に受け入れられてきた多くの国際規格は、産業界が支配する団体により、ボランタリなテキストとして開発されたものである。こうした国際規則は、自由市場に明らかな利益を与えるが、規制する側にとっては、それら規格の開発の準備段階から参画していないこと、または、該当する産業界以外の範囲も含んだ分野での、公開された目標方針を含んでいる可能性があるとの理由から、これら規格を全面的に採用することに自信が持てないのである。事実、WTOは、そのメンバーに、健康、安全、および環境保護のような目標に対する保護レベルを、その目標を満足するのに必要以上な規制をしないで、より高いレベルの保護を適用しても良いと認めている。
・幾つかの分野では、ISOやIECの国際規格を国家規則の基礎とするには、単純に十分でないという場合もある。例えば、OECDの研究の始めにあたって、ISOは、圧力機器や鉱物探査機器に関する規格の元になるものを持っておらず、単に機械の安全原理に関する規格に限られていた。これらの分野では、いまだに、国際間貿易量が大きく、ISO以外の他の規格が、市場でも、また規則の基礎としても受け入れられている。従って、この場合、どの規格を、国家規則に使用することが良いと考えるべきなのだろうか?
OECD作業内容:単なる実情調査
その作業の第一段階でOECDは、次の2つの基本的な質問を処理する。
・規格本文を、広く国際的に受け入れられるように、如何に多様なものとするか?
・規格と国家的な規則との関係を改良すべきだとしたら、規格化を行う実施者が、規格化のプロセスの、どの点に最も注意を払うべきなのか?
その分野を如何に多様化するか?
圧力機器のような分野は、これが唯一のものではないということを容易に示すことができる。国際的に使用される規格の世界は、泡立つようで多様である。ISO自体は、長年の間、国際的な活動をしている規格団体のリストを作成維持しており、彼らの内の幾つかは、作業パートナーである。
その規格が、重要な国際的承認を受けて、ISO/IEC/ITUの外部にある国家的規則や市場内で、同一なものとして採用されている例として、自動車部品、化学機器、測定機器、薬剤、輸送機器、鉱物探査機器、電子データ移送、デジタルオーディオとビデオ等を含んだものがある。そして、この分野は、常に成長を続けている。モバイル電話のWAP(無線アクセス規約)の規格化プログラムは、過去5年間での最も目立った例である。
研究のこの段階で最も目立ったものは、規格分野での活動組織の数の多さのみでなく、規格開発の構造と方法の多様さがある。研究の進展に伴い、ISOにより開発された規則との間の関係のモデル2)は、ただ1つだけではないということが明らかになってきた。規格化が全く他の規則との関係なしに行われるといったモデルや、または反対に、規制する側が、規格化作業に、その国際化プログラムの中で、直接リーダとしてか、または同等の作業パートナーとして参加するモデルも存在する。
2) 国家規則を管轄する官庁と、規格団体との間の関係は、ISO/IEC内では、主として国家レベルで行われ、そこでは、地方の規格団体が、しばしば、その国家政府との間に正式な関係、または合意書を取り交わしていて、国家規則の活動に対する特別扱いの地位を与えられている。それぞれの国で、規格化活動が、国家規則と関係してスムーズに行われるならば、国家規格団体は、彼らの作業に、ISOを通した国際レベルでの関係を反映することになる。