1] TC 8はMarine system及びその装置の設計、建造、運航、修理のための規格、スペック、テスト方法、指針、用語、習慣を制定し、維持する。ISOは海運及び造船工業とIMO(regulation)とを結びつける世界的リンク機構であるべきである。
2] TC 8は、造船所、設計業者、海運業者、機器メーカー、政府機関、その他国際機関がISO規格を採用し、履行することを促進する。
3] TC 8は、IMO等関係のある国際機関に対して、これら機関がTC 8で開発した規格を引用するような規則を制定することを促進する。
このStrategic Visionが採択されて以降、TC 8の活動はこのStrategic Visionに示された線に沿って忠実に実施されています。政府又は国際機関がRegulationを定める場合、規制の部分とその中に含まれるstandardsの部分から成り立っている場合が多いのですが、このstandardsの部分にISO規格をreferして、regulationが定められるようになってきています。このregulationとstandardsの関係が、最近のIMOのregulationに多く見られるようになってきています。
このことはTC 8のBusiness Plan 1998においても確認されています。このBusiness Plan 1998ではIMOとのリンクについて「ISO/TC 8は、IMOとの間の強力で、信頼でき、かつ責任のある行動関係の増強へと動き出した。ISO/TC 8は、IMOが「管轄官庁の判断による」として残した規則部分で、その詳細が適用する国々によって合意されていない時のような例を避けるための助けとして、自ら進んで合意の得られた規格を採用することにより、積極的な貢献が出来ると信じている。IMOとの積極的な協調を維持し、さらに増強させることがISO/TC 8の意図するところである。」としています。
こうした情勢の変化の中で、当会は平成11年10月にISO/TC 8東京会議を開催し、また平成11年6月からはISO/TC 8の幹事国業務を引き受け、業務を開始したところであります。各TC、SC(分科委員会)の幹事は、国際規格作成のために会議の開催を設定し、必要な資料や議事録を整え、参加各国の専門家の意見を集約して規格の原案をとりまとめており、規格案の内容に事実上大きな影響力を発揮することとなります。今後ますます国際標準が重要性を増してくるものと思われます。我々はこれに遅れることなく、的確に対応していかなければならないと考えております。
当会の事業は、工業標準原案(船舶関係国内JIS)作成事業、国際標準化(ISO、IEC)活動事業、標準化の普及事業及びマネジメントシステム(ISO 9000、ISO 14000関係)事業の4つの柱を中心に行われていますが、当会をめぐる環境の変化に対応して当会の事業活動の内容も大きく変化してきております。これら当会が行っている事業は、いずれもが海運、造船業界並びに舶用工業界の発展の基盤であると受け止め、国内はもとより国際的にも協調して当会事業の円滑かつ積極的な推進に取り組んでいきたいと考えております。
私といたしましては、時代の巡り合わせとはいえ、21世紀が目前のこの時期、当会事業がますます重要になるこの節目の時に専務理事に就任するわけで、私自身は微力ではありますが、会長、副会長のご指導のもと役職員一同の支援を頂きながら、本会業務の成果が少しでも賛助会員を始めとする関係の皆様方のお役に立てるものとなることを念願しながら、決意を新たに全力をあげて職務を遂行する所存であります。どうか、小山前専務理事同様、一層のご指導、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げまして、就任のご挨拶とさせていただきます。