去る6月22日に開催されました第106回理事会において専務理事に選任されました有川でございます。紙面をお借りしまして、一言ご挨拶を申し上げます。
まず、日頃より船舶関係工業標準化事業を中心とする当会の活動に対しまして賛助会員各位を始め、監督官庁、海運、造船及び舶用工業の各業界、関係諸団体等の皆様方より一方ならぬご協力をいただいておりますことに深く御礼を申し上げます。特に日本財団におかれましては、私どもの事業遂行に特別なご配慮をいただき、当会事業の円滑な推進に多大なご援助を賜っておりますことに心より感謝申し上げる次第でございます。また、小山前専務理事には平成10年4月から平成12年6月まで2年3ヶ月にわたり、よく会長及び副会長を補佐し、事務局を統括して当会の業務の処理に当たられ、特にISO/TC 8の第18回本会議を成功裡に東京で開催し、さらには平成11年6月から務めることとなったTC 8幹事国を我が国が引き受けることに尽力される等当会の発展のため、大きな功績を挙げられました。そのあとを引き継ぐ私としては、その責務の重大性を改めて痛感いたしております。
当会事業をめぐる内外の情勢は、21世紀を目前にして、経済のグローバル化に伴う国際化の進展、規制緩和のさらなる進展、環境保護、PL法、高齢化対策等に対する国民の意識の高まりなど大きく変化しております。経済のグローバル化が進み、世界の市場は一体化に向かって進んでいます。これまで各国バラバラだった規格は世界市場の単一化への動きを背景に国際規格に統合される方向に向かっています。1995年1月にWTO/TBT協定(世界貿易機関/貿易の技術的障害に関する協定)が発効してからはこの傾向はなお一層促進されています。国際標準が日本の産業に及ぼす影響は格段に大きくなってきています。「標準を制する者がマーケットを制する」とまで言われています。標準の行方が企業の盛衰を決するとも言えるのではないでしょうか。技術的に優れていても規格のもっていきようによっては競争に必ずしも勝つとはいえないということであります。
また、国際規格は各国の強制的な安全規則にも用いられる方向にあります。ISOにあって船舶及び海洋技術のISO規格の作成を行っているのはTC 8(Technical Committee 8)でありますが、このTC 8では1994年9月にノルウェーで開催された第13回本会議において「Strategic Vision/long range plan」を採択しております。このStrategic VisionではTC 8の任務は次のとおりであるとしています。