このたび、理事会の選任により、大石副会長の後を受けて、船舶用JISメーカーの代表として、日本船舶標準協会の副会長に就任いたしました。浅学非才の身にとっては心苦しく、荷の重い大役でありますが、会長はじめ関係者の皆様方にご指導を頂き、任期を全うするよう一生懸命に努力いたす覚悟でありますので、何卒よろしくお願い致します。
前任の大石幸明副会長は、ご専門の電気関係で本会のJIS F規格作成委員会はもとより国際電気標準化会議(IEC)等の標準化活動にも数多く参加され、その後、副会長或いは理事として長期間にわたりJIS F規格の作成や普及、更にはJISメーカーのリーダーとしてご尽力されました。ここに深甚な感謝を捧げたいと存じます。
さて、西暦2000年という節目の年に、景気回復への期待は大きいものがございますが、私共の業界は依然として厳しい環境にございます。いわゆるJIS工場も、近年の造船関連工業の経営の合理化縮小等により、往時に比べて半減している状況であります。
一方、JIS F規格については50年を越す長い間、ISOやIEC等の国際規格の変遷、材料や生産技術の進歩、使用者側の要求の多様化等に従って、新しい規格の制定、改正や廃止など絶え間ない標準化活動が続けられております。更に、近年はこれらの標準化を取り巻く内外の環境変化の波が大きく押し寄せつつあり、先のWTO/TBT協定の発効により新規に制定するJISは、ISOやIEC等の国際規格を基礎として整合させることが原則となり、JISの国際化、グローバル化がますます要請されております。
さきの国家産業技術戦略検討会における造船分野の国家産業技術戦略(一次取りまとめ)では、長期間にわたり世界のリーディングカントリーである我が国が、今後とも造船関連技術の進歩発展を目指すためには、「標準はマーケットを制す」という発想から標準化の重要性の認識と戦略的取り組みが不可欠であり、標準化推進への積極的な対応が強調されているところであります。本会のISO/TC8幹事国業務の引受けは、まさに時宜を得たものであり、今後の我が国船舶関係工業標準化の推進による成果を大いに期待しております。
以上のように、本会の事業は極めて公益性の高い事業であり、その果たすべき役割は益々拡大していると認識しております。私共JISメーカーも厳しい状況にはございますが、一致協力して日本船舶標準協会をもりたててまいりたいと存じますので、関係者の皆様方には、なお一層のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げて就任のご挨拶と致します。