(b) 5月6日(金)審議概要
(1) この日の最初は、JCIの福島氏が「落下試験の妥当性」に関するプレゼンテーションを行った。約1時間にわたり、過去JCIの構造委員会を中心に活動してきた内容を発表した。落下試験と航走試験との対比や、船研の曳航水槽での模型試験結果や、理論計算との対比などOHPと試験風景のビデオで説明した。筋道だったわかりやすい説明で、メンバーの反応は好評だった。特に船研で実施した波浪中模型試験には、皆感心していた。欧米各国では、このような試験をやりたくても、予算がないので、なかなかできないようだ。(発表資料は添付資料8、参考として添付資料9、10)
この後、「落下試験」の項目をAnnexに残すかどうか、各国の賛否を確認した。
結果は会議参加国(10カ国)すべてが、Annexとして「落下試験」を残すことに賛成した。(前回のWGでは、大半の国が否定的であったが、今回のプレゼの成果で全員賛成に変わった。)
次に、落下試験の制約条件を議論し結論として
・落下試験を行うのは、6m以下の船舶とする。
・落下試験による欠陥の有無は、目視で行いすべての構造をチェックする。
・落下試験は、代替の評価方法なので、「Normative」Annexとする。
・落下試験の実施は、申請者側で実施し認証機関は審査のみ行う。
どこまでを欠陥とするかの客観的判定基準が、わかりにくいという疑問は、まだ残っているが、今回日本からの提案は全面的に認められた。
(2) 昨日と宿題であった船底水圧Pb1とPb2の矛盾については、Pb1の計算に使うncgの下限値を削除することになった。(ncg min=2.0、ncg min=3-Lh/12を削除)
Pb1、Pb2をそれぞれ計算し、どちらか大きい値を使うこととし、セーリングヨット、パワーボートの区別はしないことになった。
(3) Part5で、日本から出したコメントに対するおもな審議結果としては
「5.1.1のVの説明が、わかりにくい」
→了承。この文章の後半を削除する
「ヨットの最小スピード3・√Lは、高すぎないか?」
→Table2に規定しているボートの最小スピードとは、意味が違うので、現状とする。ヨットのスピード推定は、True Wind Angleが90℃の時のスピードとする。
「ヨットとパワーボートで、水線幅の取り方が違うのは何故か?」
→了承。ヨットもパーワボートの水線幅の取り方にあわせる。
(4) その他の変更点として主なものは、
・Pb2の扱いを「for displacement boat」とする。
上記で時間切れとなった。次回はPart5、6に関し6月19日、20日にパリで行う予定
(c) 5月8日(月)審議事項
この日は、WG22(復原性)と会議が重なっていたため、参加者も7名と少なかった。
議事は、各国(日本、ドイツ、英国、スウェーデン)から出ているコメントに対し、一つ一つ審議して行く形で進んだが、コメントがあまり多くなかったこともあり予定通り終了した。議長からこのPartに数値表現を多用すると意見がまとまらないので、概念的ルールとしてまとめたい旨の説明があり、参加メンバーは了承した。