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コンテナ輸送業界を襲った合同の動きは、続くであろう。分析家は、2010年までに、わずか5つの全世界的運送業者が生き残るであろうと見ている。理論的には、企業の合体及び提携の上昇は、定期船部門での注文を更に大きく調整することとなろうし、税金の計上を推進したドイツ税法の変更は、投機的不定期船部門の投資を弱めることとなろう。

コンテナ船は、その大きさにおいて(6000TEU以上の範囲において)成長を続けるであろう。ラインホール(ターミナル間移動)船と、より小さな支線用の船(内陸移動のない場合)との間の貨物(特にコンテナ)の移動の役をし、ハブとして機能をすることにより港湾が、ますます輸送移転場所となろうとしているから、コンテナ船の大型化はまた、世界的に港湾への大きな衝撃となろう。コンテナ積みの貨物は、将来はなはだしい増加を来すことが期待され、巨大コンテナ船を用い、主要貿易及び移替え基地としてのハブは、世界の戦略的場所において繁栄するであろう。このことは貨物の移動及び経路として利用する方法を変更するであろう。

 

小口分けの海運は、低下するが消失はしない。20世紀の大半、大洋を制覇した船はほんの3、4年前はその数1600から1700であったのが約1300に落ち込み、スクラップ化は、増加し、新船の発注は、減少している。しかし、1千7百万トンの小口分け施設が稼働中であり、多くの荷送者は、現在でもコンテナにうまく入らない大きさの貨物又はコンテナ船で運送するには経済的でない量の貨物を動かしている。

旅行業の面では、新たな目的地は開拓されるし、従来の目的地は改善策を施されるから、巡航海運は栄え、劇的に増大し続けるであろう。この情勢を受けて、レジャー部門は、米・欧双方で成長を続けている。「巡航」業部門のみは、海運部門中3%程度を占めているに過ぎないが、人口統計上は、巡航船市場にとり有利となっている。現在米国人口の僅か10%しか巡航に出ていないが、調査では、67%超が巡航を指向していることになっている。平均旅行者年令は、10年前は、60才であったが、現在では45才である。これらの船は、沿岸及び大洋横断の巡航から内陸水路航行に及ぶ市場の各部門に適合するよう、いろいろの大きさで建造されている。

 

巡航船の高付加価値が魅力であるため、多くの造船所は、この建造市場で分け前にあずかろうとしている。しかし、この種船舶の建造には、特殊な技能のある下請け及び供給者の参加を必要とする。したがって、極東の造船所は、思慮深い選択も非常にコスト高の戦略的選択なしには、この市場での成功は困難を覚えるであろう。欧州の造船能力は、生産性改善を通じ、また追加の巡航市場参入造船所があるという前提で、この部門での増大する需要に対応することができるとみられる。しかし、船主は、消えゆく補助金を考えれば、この造船所技量を保持するためより大なる支払いをしなければならないこともあろう。米国も以前は欧州が優勢であったこの市場へ、参入しつつある。

 

このように、我々は、新船をもたらす安全性及び環境に係る要件(すなわちダブル・ハル対シングル・ハルという構図のもの)を含む規格化要求の強い市場を見て取る。我々は、スクラップ化規格の必要性を見て取る。また、我々は、船主の各種型式の船舶及び運行の要求に適合するに当たり柔軟であることの必要性を見て取る。また我々は、新しい高速船を見て取る。そして我々は、巡航船の設計に増加して止まない複雑性を見て取るのである。我々の事業の分野における定量的指標となる解析をしてみれば、我々の記載済みのゴール及び目的は正しいことが立証される。海事産業にとり将来は明るいが、それは、補助金と市場の混乱により悪化する。生き残り成長するものもあろうし、波に乗り切れず絶えるものもあろう。

 

3 ISO/TC作業に期待される利点

 

特定の利点とは、次の各項に掲げるとおりである。

1. 増大する規則に代え、自主的でコンセンサスを得た海事業界規格の増加(現在100を超すISO/TC8作業項目は、IMO要件に直接役立っている。)

2. IMO規則は詳細なことの実行面は各ポートステートに依存している。広範な面を備えたIMO規則を実施するための技術的規格を提供すること。(規制要件を、全世界的実施のため特定の業界規格に移し変える能力)

3. 国際規則のための基礎として役立たせるため業界規格を提供すること。

4. 環境上の配慮と繁栄する海事業界との間の適当な均衡を保つこと。(安全と環境は、基本的なIMOの関心事である。採用されている業界規格を通じ、我々は、規制上のニーズと業界の残存との間の均衡の創設を可能とする。)

 

 

 

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