(2) EC機械指令における安全原則とリスクの許容性について。の付属書の「機械及び安全部品の設計と製造に関する健康と安全の必要要求事項」において、製品製造者に対して安全原則(1.1.2(a)、(c))を規定し、予見可能な使用者の誤使用についての責任を付与している。これ以外のリスクは許容されると判断される。
安全原則(1.1.2(a)、(c))
(a) 機械はその機能に適するように製造し、製造者の予見可能な条件下で使用、調整と保全する際に、人にリスクを被らせないようものとする。
(c) 機械を設計し製造する、又取説を作成する際しては、製造者は機械の正常な使用意外に、合理的に予見できる使用法を防止する設計をする。
(3) 死傷または重症、重大な業務障害・システムの損害・環境破壊にたいしては、リスク発生レベルが年に100万分の1以下であれば、不可抗力とみなす。これには米国のH・Jオトウェイ、R・Cエルドマンの社会統計学的視点からのデータが参考になる。また民間航空機の年間重大事故発生確率、米国環境保護局(EPA)の環境汚染物質の規制における不慮の死に対する発生率もこの数値に適合している。一般的に米国社会ではハザードによるリスク発生確率が100万分の1以下であれば許容リスクレベルに達しているとみなしているなど、社会統計学的視点からみた許容リスクレベルを発表している。
(4) 法的にみた許容リスクレベルについて
(a) EUの場合には法的な拘束力ある強制基準を遵守した安全レベルに到達すれば許容リスクレベルに達していると解釈できる。
(b) 米国に於いてはリスクと便益性を比較考慮することにより判断する判例として「リスクと便益基準」と称している基準がある。これは製品に内蔵するリスクがその便益性を上回っているいるのであれば、その製品は欠陥であるとの考えかたである。
(c) 日本においては法が規定する安全基準は最低限の必要な基準に過ぎないと見なされている。
(5) MILの安全レベル(MIL-882C、D Standard Practice for System Safety)
安全上重要な次事項は許容できないとしている。
(a) 単独のコンポーネントの故障、ごく普通の故障、ヒューマンエラー、設計特性による致命的、危機的なリスクをもたらす可能性
(b) 安全上重要な命令と制御機能に関連する次項により、致命的、危機的なリスクをもたらす可能性
― 二つのコンポーネントの故障の発生
― 二つのヒューマンエラーの発生
― コンポーネントの故障とヒューマンエラーの発生
(c) その他:省略
このような許容できないレベルに対して、次の改善対策を行えば許容リスクレベルに達したと判断される。