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(4) 人間の特性と作業の信頼性

一般に、作業負荷が作業能力よりも十分小さいときには人間の信頼性は高い。与えられた作業負荷が人間の能力の限界に近づくにつれて疲労も高まり、この長時間の負荷は作業の信頼性の低下を招く。また、短時間でも限界作業能力を超える作業が予想されるときには、作業の信頼性低下を避けるために、機械側が人間の肩代わりをして、作業負荷を下げるようなシステムが必要になる。従って、支援システムの役割としては、作業能力の経時変化を考慮して余裕のある作業が出来るような配慮が重要である。また、適当な音声指示を出すなどして低下した作業能力の復活や把握をすることも、当直作業などでは信頼性向上に役立つ。しかし、余裕のある作業であっても、うっかりミスや注意の乗っ取り(一点集中)によるエラー、確率的に発生するエラーなどの発生を防ぐことは人間の特性上困難であるので、エラーが発生しても検知して対応できるシステムを構成することが大切である。

過度の時間的余裕は思考レベルの低下をきたさないよう、人間とシステムとの適度なインタラクションによる緊張感の保持の意図性は必要である。

(5) 作業における余裕と安全レベル

潜在的危険が顕在化した時点から危険が回避出来なくなる限界時刻までの時間に、余裕を持って回避が出来れば安全といえるので、この余裕の大きさにより安全を評価することが出来る。例えば、目前の衝突の危険を避ける行動をレベル1の安全行動とするならば、航行環境を配慮した行動はレベル2の安全といえる。さらにより広い海域での操船の如く出来ればレベル3となる。

 

引用・参考文献

[001] 野口和彦:リスクマネジメント手法を用いた安全の推進とその課題について、日本信頼性学会、1998-2月

[002] 秋田一雄:未然防止へのアプローチ、安全工学、vol.39 No.2 2000

[003] 船舶技術研究所、全国内航タンカー海運組合:近代化船システム共同研究報告書、平成7年3月

 

 

 

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