D.4 リスクグラフの実施:一般スキーム
上記のリスクパラメータの組合せによって、附属書D図1に示されるようなリスクグラフができる。附属書D図1では、CA<CB<CC<CD:FA<FB:PA<PB;W1<W2<W3である。このリスクグラフの説明を次に示す。
― C、F、Pのリスクパラメータの使用によって、幾つかの出力X1、X2、X3…Xnが導かれる(出力の正確な数はリスクグラフが用いられる特定の適用分野に依存する。)。附属書D図1はより重大な影響に対する追加条件が、適用されないような状況を示している。これらの個々の出力は、W1、W2、W3の三つの尺度の一つに割り当てられる。これらの尺度による各ポイントが、考慮中のE/E/PE安全関連系が適合しなければならない安全度を指示する。実際、単一のE/E/PE安全関連系では必要なリスク軽減が得られないような状況が存在する。
W1、W2、W3への割り当ては他のリスク軽減手段の寄与を許容する。W1、W2、W3の尺度の派生的性質は、他の手段によるリスク軽減の3段階の水準を許容することにある。すなわち、W3の尺度は、他の手段によるリスク軽減が最低限の場合を示し(すなわち、望ましくない事象が起こりうる可能性が最も高い)、W2は中程度の貢献で、W1は最大に貢献した場合である。リスクグラフのある特定の中間的な出力(すなわちX1、X2…又はX6)や、ある特定のW尺度(W1、W2、W3)によって、リスクグラフの最終出力がE/E/PE安全関連系の安全度水準(すなわち1、2、3又は4)を与える。そして、この最終出力が、この系に要求されたリスク軽減である。このリスク軽減は、Wの尺度を決める際考慮した他のリスク軽減手段(例えば、他技術安全関連系や外的リスク軽減施設)によって達成されたリスク軽減と組み合わせて、特定の状況のための必要なリスク軽減を与える。
附属書D図1に示されたパラメータ(CA、CB、CC、CD、FA、FB、PA、PB、W1、W2、W3)の厳密な定義とそれらの重み付けは、それぞれの特別な状況や同種の産業分野ごとに定義される必要があろう。そして、適用分野の国際規格でも定義される必要があろう。
D.5 リスクグラフの例 機械装置の分野におけるリスクグラフの実施例を附属書D表1のデータに基づいて附属書D図2に示す。リスクパラメータC、F、及びPは8種の出力を導く。それらの出力の各々は、三つの尺度(W1、W2、W3)のうちの一つに割り当てられる。これらの尺度による各ポイント(a、b、c、d、e、f、g、h)は、安全関連系によって適合されるべき必要なリスク軽減を示している。
備考 このリスクグラフの実施に関する更なる情報は、附属書Fの引用文献[6]に与えられている。