付3 安全評価の主要手法
3a ハザードの分析
3a-1 FTA (Fault Tree Analysis)
主として 松本著「リスクアセスメント手法」新技術開発センターから引用したが詳細はCCPS:Hazard Evaluation Procedureが詳しい
(a) FTAの開発の意図
FTAは1959年、アメリカ空軍がミニッツマン・ミサイルのもつ潜在的な問題点の分析法をベル研究所に開発委託したことに始まるとされている。これは当時、ミサイルの意図する発射を成功させる確率と、不注意あるいは第三者の妨害行為により発射を失敗する確率を空軍が把握したいという意図があり開発されたという経緯もあった。
この分析手法の開発当初の目的からもわかるように、FTAはシステムの信頼性と特性に影響するファクターとして、システムを構成するコンポーネントと環境条件に加えてヒューマン・ファクターも分析対象とする点に特徴がある。空軍の委託を受けたベル研究所は、1961年、事故発生の要因となりうるシステムのコンポーネントの故障、ヒューマンエラーおよび環境要素の関連性を事象記号と論理記号により図式化する分析法であるFTAを開発した。
(b) FTAの特徴
FTAはシステムの望ましくない事象をトップ事象(Top event)として分析作業のスターティング・ポイントにする。このスターティング・ポイントから分析作業は始まり、その事象をもたらす可能性のある原因や事象をそれ以上分解できない基本事象(Basic event)まで遡って分析し原因系を求めていく。この作業の過程では、システムの事象であれ条件であれ、アクションあるいは状況であれ、それらの状態をすべて「真」か「偽」か、「ON」か「OFF」か、あるいは「開」か「閉」か、というように二つの状態のいづれかにあるとして取り扱う。
トップ事象から分析を進めて基本事象に至る間の論理的関係を事象記号と論理記号を用いてダイヤグラム化していく。システムやコンポーネントの故障あるいは事故といったシステムにとって望ましくないトップ事象、その事象をまねく原因となる事象などを事象記号で、また、そうした事象間に存在する因果関係を論理記号を用いて図式化すると、樹木の枝を展開したような図となる。このためこの分析手法をFault Tree Analysis(故障の木解析)、略してFTAと称されている。