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最近景気が回復し、改善の方向に向かっているため、ボートの販売も伸びている。しかしその大半は、既に国内に存在していたボートの中古販売である。

中古艇が売れても、ボート事業の回復とはいえない。プレジャー・ボートの需要が伸びるためには、ボート業界のプレイヤー、銀行、政府の活動が一層の活発化することが求められる。

 

どんな行動が求められているのか

第1に、景気が回復し、さらに改善が進み、人々がレジャーに支出できるだけの自信を取り戻さなければならない。

第2に、銀行その他の金融機関に、プレジャー・ボート利用者への融資を奨励しなければならない。通常、ボートを購入する人は、それがレジャーのための玩具であり、しかも個人投資としてはかなり高価なものだと認識している。購入を決めるためには、自分の財力で買えることを確認しなければならない。従って、銀行が適正に資格を設定し、必要とあればボート事業界も協力して、それが金融機関にとっても採算の取れる取引きとならなければならない。

政府としては、クラブの会費やボート・レジャー自体のためにあまり高い費用を支払いたくはないが、日常的にボートを楽しみたいという人々のために、関連設備の建設を促進しなければならない。ボート・レジャーが盛んな国々、すなわちヨーロッパ諸国、米国、ニュージーランド、オーストラリアなどでは、ボートを自宅の裏庭に保管を希望するボート・ファンのために、クルマやトレーラが出入しやすいように駐車場に斜路を設置している。ファンはわずかな料金でこのような公共施設を利用できる。

路上を牽引するのが不便な大型ボートのためには、パブリックのクラブや、単純で低コストのボート搬出設備を備えた保管施設を、ウォーターフロント近くに建設しなければならない。

このような施設があれば、ボート・レジャーを楽しむ人々の層を拡大する呼び水となる。

過去10年間、一見すばらしい、原産国も証明され、理論的には十分性能を発揮するはずのボートが、わが国ではうまく機能しないという例を数多く経験してきた。これはボートが建造された土地の気候と水面の状態がわが国と異なるためである。例えばマレイシアの気候の温度と湿度は、そのような条件に耐えるように造られていないボートにとってきわめて有害である。

ボートやエンジンのメーカーはこれらの問題の多くを検討している。その多くについて改善策、解決策が実施に移された。

これらの対策は、ボートの故障を少なくし、また購入者の関心をつなぎとめる上で重要である。

 

 

 

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