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マレイシアのボート事業

Oh Kean Shen

 

概論

この報告は、国内のボート建造事業者が地域市場向けに適したプレジャー・ボートの建造においてスケール・メリットを享受できるようにするための、国内・地域市場の開発を論じるものである。

10年前にマレイシア政府がプレジャー・ボートの輸入税を撤廃して国内のボート事業を支援したことにより、同業界が飛躍的な成長を遂げた経験が想起される。間もなくマレイシアは、この地域に本拠を設置しようとする建造事業者にとって格好の玄関口となった。

Mercury、Mercruisers、Mercuryボート、その他のBrunswick製品の域内販売のためにMercury Marine Sdn Bhdが設立された。ポートクランではGRP動力ヨット建造のためにFadara Shipyardが設立された。超大型ヨットを建造するDiaship/Heesen Shipyardはペナンにアジア事務所を開設した。アルミ艇を建造するEtamaxはバタワースに小型建造所を開設した。

その間、Pen-Marine Sdn Bhd、Explorer Marine、Simpson Marine Sdn Bhd、Finn Marine、その他、有名なボート・ブローカー企業が設立された。

多数のマリーナ建設プロジェクトが計画され、一部は実現、一部は放棄され、その他は今後の進展が定かでない。完成を見たのはRebak Marina、Royal Langkawi Yacht Club、Lumut Yacht Club、Royal Selangor Yacht Club、Admiral Marina、Sebana Cove Marinaなど。Bayan Bay Marinaは現在、開発が進行中である。

1997年以降の不況により、多数の企業が廃業してしまった。

今日、ボート事業の当事者、政府、金融機関、保険会社、ボート所有者または購入者など各方面において、この業界のさらなる発展、成長のための努力が必要とされる。

プレジャー・ボート事業の低成長の原因

ボート事業の低成長は、過去3年間の不況の直接的な影響によるところが大きい。

多数のボート購入希望者は、対米ドル3.80リンギットに統制されている為替レートが、近い将来において引き下げられるのではないかと様子見をしている。輸入ボートの大半は、価格が米ドルにリンクしている。

価格が建造国の通貨または(および)ユーロ建てのヨーロッパ製ボートは、これらの通貨が比較的弱いために、価格面で魅力的になっている。

一部の購入希望者は、量的な拡大がないとボート事業のインフラ整備が進まないという見通しから、参加者がもっと増えるまで購入を見合わせている。過去10年間にマリーナやヨット・クラブが設立されたが、ボートの数、ボート利用者の数とも比較的少ないため、クラブのサービスは利用者の期待する基準に達していない。

 

 

 

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