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品質、精度、迅速性、コスト、ロスの削減などの面で改善を図るため、中大型造船所ではコンピュータ制御のNC工作機械を使用している。

管部品の図面があれば、より高品質の管類を迅速に加工できる。中大型造船所ではパイプ巻枠の生産にソフトウェアや管曲げ機を導入している。

溶接技術も半自動溶接機やセラミック裏当ての使用により改善されている。

材料と支援産業

造船所では必要な材料をすべて外部から調達するのが通例である。そのため価格、納期、品質の各面で適正なサプライ・チェーンの整備が必須とされる。納期を厳守させることも、在庫を最小限度に抑えるために欠かせない(ジャストインタイム納品)。調達先が国内になくて他地域から調達すると、納期の遅れ、在庫肥大、輸送費の増大などの問題が生じる。これもまた、供給元との安定した関係を築く能力の問題である。

現在国内で調達可能な品目やサービスは以下の通りである。

・塗料

・室内調度品

・軟芯パネル材

・小型プロペラ用鋳造品

・小型配電盤の製造

・電気メッキ設備

・洗面所ユニット

・亜鉛陽極

現在ケーブルの一部、さらに最近では鋼板の一部も国産化の努力が進められている。

 

政府の支援策

造船業育成の観点から、政府は産業マスター・プランに基づいて、以下の戦略を実行に移すタスク・フォースを発足させた。

・海運部門と新造船・修繕船部門の発展の調整を図る

・造船業の競争力強化のために合理化・統合計画を実施する

・造船業の発展を助けるために有効な技能・人材育成計画を策定する

・適切なインセンティブを設けて国内造船所に対する安定需要の醸成を図る

・生産性向上、生産コスト削減のために船舶設計の標準化を促進する

以上の戦略に基づいて、同タスク・フォースは以下を検討、実行に移した。

・海事産業調整委員会の設置

海運、造船は相互に関連する部門であるから、この委員会は海運、造船に関わりのある各種の政府機関相互間の円滑な調整を促進する。

 

 

 

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