・設計と技術
設計作業はコスト削減のために、生産作業を意識して進めなければならない。
・購買
造船所は部品の調達に当って、ジャストインタイムの購入と標準化を図らなければならない。資機材のコストは船価の50%ないし60%を占めるが、調達源を広く国際的に求め、サプライアーとの戦略的アライアンスを通じて削減することができる。
・計画と生産
船舶の建造工程を迅速化する必要性は、人件費の上昇と共に主要な要因である。すなわち各種の段階で計画性が重視されなければならない。マレイシアの造船所や、工事を各段階で管理することができるように、計画立案ツールの導入に投資を要する。
設計技術
大抵の造船所が、船舶を建造する能力はあっても、設計能力を欠いている。小規模造船所では、マレイシア国内やシンガポールの設計会社から基本設計を購入するのが通例である。すなわち施工図面がないということであり、これが最終的な品質、建造期間、コストに跳ね返っている。
施工図面があれば造船所はよりよい環境で部品を事前に加工し、取付けだけを船上で行うことができる。
比較的大規模な造船所では自前の設計部門があって、タグ、タンカー、貨物船などの設計を行っている。Malaysia Shipyard And Engineering Sdn. Bhd. (MSE)やPSC Naval Dockyardなどは、独自に設備投資をして造船専用の高度なコンピュータ設計・情報システムを開発し、それぞれTRIBON、FORANというシステムを使用しているが、他の造船所は大半がAUTOCADを利用している。
自社内に設計部門を置くことは以下のような理由から困難である。
・経験豊富な人材の不足
・設計ツールと手法に継続的に投資して、グレードアップを図る必要性
・リピート受注の不足
・設計部門維持のコスト高
・造船所間の戦略的アライアンスの欠如
建造技術
マレイシアの造船所は大半がブロック建造方式を採用している。しかしながらブロックの寸法と先行艤装の程度は、設備の整備状況に応じて造船所間でばらつきがある。これも詳細設計図面がどの程度準備できるかに掛かっている。