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挨拶の中で運輸大臣はすべての代表に対し、風光明媚なランカウィとマレイシアに歓迎すると述べた。この会議のテーマ自体が、次の10年間、そしてミレニアムにおいて造船業を強化しようとする、業界関係者の決意の表われであると指摘した。AMIMがこの会議を主催したことに敬意を表明し、官民のパートナーシップにとって幸先のよいことであると述べた。発展途上国の各造船所は高い操業コスト、限られた市場ネットワーク、技術的支援の不足などの問題に直面していると指摘した。近年では世界中からの輸出受注が増加したために、稼動率が回復していることも付言した。造船所の稼動率を向上させるには、業界の自主的措置が必要であることを指摘した。これは資機材の直接輸入または代替、資金供給の円滑化、研究開発の強化などにより達成することができる。この目的を達成するために、マレイシア政府は1992年に海運基金を創設し、海運産業振興のために長期資金援助に道を開いた。1997年にはこの海運基金による融資対象範囲を拡大し、マレイシア国内の新造船・修繕船事業の振興のためにも資金を供給することが可能になった。次いで運輸大臣は、造船業経営者に、アジア太平洋地域における専門能力と業務の開発、振興に力を入れるよう要請した。APSEMを造船および海事関連産業における技術と専門能力両面における最新の展開について、できる限り多くの情報を得る機会と位置づけた。また、マレイシアについて知識を深めるために、出席者全員がAPSEM研修ツアーを活用するように勧めた。最後に大臣は、APSEM2000の開会を宣言した。

その後でAMIM会長がマレイシア運輸大臣と日本財団に、APSEM支援を感謝して記念品を贈呈した。各国代表は、運輸大臣との記念集合写真撮影に参加を呼び掛けられた。大臣はその後、記者会見に出席した。

 

議題1―新ミレニアムにおける海事産業の課題

インドネシア

ジャカルタ所在のインドネシア通商産業省輪送設備産業課長Moehammad Setiono氏から、「インドネシア造船産業の前進と将来展望」と題したカントリー・ペーパーの発表があった。

発表の冒頭で、同氏はインドネシアにおける造船業の現状について、その強み、弱み、チャンス、脅威(SWOT)を分析した。インドネシアでは現在、機器や部品の調達を輸入に依存しているために、技術と生産施設が旧式化しているという。また経済危機以来、資金の調達難も大問題になっている。その他の弱点は専門的人材の不足、研究開発の不足、経営の非効率などである。

一方、インドネシアには240社の造船企業があり、うち15社は大・中規模の企業である。

 

 

 

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