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能力については、いずれも年間、新造船が180,000GRT、修繕、その他の入渠工事が3,600,000GRTとなっている。1969年以来、新造船工事の経験が着実に積み重ねられてきた。撒積船のトン数は42,000DWTとなっているが、これは誤りで正しくは1,620DWT。業界の実績は過去4年間、地域の経済混乱にもかかわらず、上向きを示している。次に収入の数値(インドネシア・ルピア建て)を挙げて、収入増の事実を具体的に示した。しかし修繕船工事が新造船工事を上回っている。

報告者はまた、インドネシア造船業のさらなる発展のための戦略を説明した。自国の造船業の向上のために、出席者の意見や提言を歓迎するとして、報告を終えた。

 

質疑

日本代表:アジア地域の経済危機の時期に修繕船収入が増えたというお話だが、示された統計数値に基づいて、その収入増について、経緯を含めてご説明頂けないか。

インドネシア・ルピアの価値が下落したために、国内船主は国外で船舶を修理に出すのをためらうようになった。さらに外国船主も経済危機を利用して、かなり低いコストでインドネシアに修繕を発注するようになった。この趨勢は引き続きインドネシアの修繕船事業に収入増をもたらしている。現在、インドネシア全国を通じて、新造船企業は1社しかない。

議長コメント:インドネシアにおける新造船の事業機会について文書を作製配布し、協力を求めるよう、代表にお願いしたい。また出席者全員に、それにしたがってインドネシアに協力されるようお願いしたい。

ベトナム代表:インドネシアの造船業が直面している労働力の問題について、さらにご説明頂きたい。

全従業員数は32,000名と報告されているが、1985年に造船業振興計画が発足して以来、労働者の大半は日本などで研修を受けた。国内の修繕船・新造船事業に熟練労働力を供給するため、研修計画は国の内外で今後も継続される。さらに外国の専門家も招致して、国内造船労働力の一層のグレードアップを図る。

 

日本

徳留健二氏がカントリー・ペーパーを発表し、宮村弘明氏が補佐した。徳留健二氏は日本の運輸省海上技術安全局首席船舶検査官である。

ペーパーの発表に先立って、徳留氏は、造船市場の現状について触れた。新造船需給は1990年代前半から回復に転じた。需要の回復は老齢タンカーの代替需要と世界経済の拡大に伴う海運市況の急速な回復によるものである。しかし、船価はアジア経済危機以降急激に下落し現在も十分に回復していない。この原因は世界の建造能力が急拡大して、新造船の需給バランスを保てなくなり、市場メカニズムが機能しなくなっていることにある。業界で淘汰が生じなければ、競争の結果として、船価は更に下落するものと予想される。

 

 

 

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