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(4.7) 方位測定機

方位測定機は、国際航海に従事する総トン数1,600トン以上の船舶には装備することが要求されているが、その他ではあまり必要とされていない。ただし、漁船では、ほとんどSSB受信可能なものを装備しているが、特殊要求で装備する場合もあるので、概要について説明する。

方位測定機は電波の到来方向を知るための装置で、古くは自船の概略位置を計測するために使用していたが、この目的のためには現在、ロラン、デッカ、オメガ、NNSS(航行衛星システム)、GPS(国際位置測定システム)が装備されるので、方位測定機は他船の遭難信号を受信し、その方向を知るために利用される。この装置はループアンテナ、センスアンテナ及び測定機によりなる。指示方式としてはダイヤル上に自動的に方位を示すものやブラウン管上に自動的に指示するものなどがある。

(4.8) その他

中小型船においては特殊な場合を除きほとんど装備されていないが次のものがあるので簡単に概略について説明する。

(a) ロラン受信器

陸上に設置された2局(ロラン局)送信局から発信する規定のパルス状の電波を受信して自船の位置を測定するもので、2局の受信時間差から、この2局を焦点とする双曲線上に自船の位置を求めるものである。

(b) デッカナビゲータ

精度が良いので沿岸において利用するのに有効であるが、デッカ局の設置場所も少なく、使用可能な地域が限定されている。しかも受信機はデッカ社からのレンタル方式となっているため、多くの船には装備されていない。

(c) オメガシステム

最近開発された双曲線航法で、全世界で自船の位置を測定できるように考えられた装置である。ロランやデッカのような精度は得られないが、全世界どこでも位置の測定ができると言う利点がある。従って国際航行船では最近装備する船が多くなっている。

(d) NNSS(航行衛星システム)

最近の船によく装備されているものに人工衛星を利用した位置測定器がある。これはアメリカ海軍が開発して利用しているNNSSを民間に開放したもので、人工衛星からの軌道信号を受信し、内蔵のコンピュータ装置と組合わせて位置計算を行うもので高い精度で自船の位置を知ることができる。

 

 

 

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