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船の運航は、これまで船橋からの指令により機関室で主機の操作を行ってきたが、最近では船橋で主機を直接操作する船橋操縦が一般化してきている。

また、機関室は高騒音・高温・高湿など環境があまり良くないので、防音・空調をほどこした機関部制御室を別区画として設け、監視制御機器を集中して、主機その他の主要機器の遠隔制御及び集中監視を行うことができるようにしている。さらに機器の信頼性の向上と共に自動化が大幅に採用されるようになって、夜間は機関室を無人化することも行われている。

更に最近では操縦操作だけでなく、機器データの自動記録、異常診断、保守計画等の処置をコンピュータを用いて行う制御・監視及び保守システムまで実用化されている。

 

1.2 機関艤装設計

1.2.1 機能設計

基本計画で作成された基本図・仕様書などに従って船主や船級協会と折衝を行いながら、船の細部にわたった機能に関した部分の設計を行う部署を機能設計という。

船主や船級協会へ提出する承認図、生産設計へ渡す工事用図、あるいは船の完成時に船主へ渡す完成図など、一船につき数百種に及ぶ図面を作成することもある。

また船の各パートについて、与えられた条件のもとで機能的に優れたものとし、効率よく設計するために設計部門はそれぞれ専門の分野に分かれ、ふつう総合(基本)、船殻、船体艤装、機関艤装及び電気艤装からなっている。

 

1.2.2 機関艤装設計

船の推進に関係した機関部の詳細設計を行う部署であり、基本設計で作成された機関室配置図・仕様書・計算書などにより示されている基本計画に従い設計作業を進める。

機関室内の配置を決定するにあたっては、主機関をはじめとする各機器の性能が十分に発揮されるように検討を重ね、同時に船殻、船体艤装、電気艤装など他の部署との関連を十分に検討すると共に、現場での作業の手順、難易度にも考慮を払い、円滑な工事の遂行ができるように心掛けなければならない。

また性能面とは別に、機器の操作及び保守についても綿密に考慮し、かつ安全性、照明、交通、換気、防音、防振などにも留意して、乗組員にとって安全で好ましい環境となるように設計しなければならない。

 

 

 

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