第11章 居住設備
11.1 一般
居住設備は、旅客又は乗組員に対する生活のための設備であるから、快適な船内生活を保証するだけでなく、保健・衛生、安全に十分考慮を払い、慎重かつ親切に計画しなければならない。特に留意しなければならない事項は、次のとおりである。
(1) 空間・床面積の最大限活用
船は、陸上建築物に比べて、利用できる空間・床面積が少ない。すなわち甲板の高さが低く、また居住に利用できる面積が限られる。部屋の配置、家具器具の配置、出入口、窓の位置等を十分に工夫しなければならない。
(2) 温度・湿度の調節
陸上とちがって、自由に通風換気ができない等の不便があり、従って温度、湿度の調節も不十分となり、健康にも気分的には不快となりがちなので、これらに注意して快適になるよう艤装しなければならない。
(3) 騒音・振動の防止
機関等から発生する騒音や振動は、皆無にはできないので、この騒音や振動が居住区に伝わらないように、防音防振を考慮しなければならない。特に艤装品等の取付け方が悪くて、振動が騒音の原因になることに注意が必要である。
(4) 内装材料の検討
陸上建築物用の新材料を船の内装に用いることは、旅客や乗組員の生活にマッチしてよいことであるが、安全性、耐湿耐水性等をよく検討し、狂いの生じない船の艤装への適否を吟味することが必要である。
(5) 保守・点検の容易性
特に内張の中の電線、諸管等取付部、断手部等を点検保守しやすいように考慮しなければならない。
(6) 関連法規の参照
安全性を主とした事項が、船舶設備規程その他に定められているから、これらを十分参照して満足な艤装が施工されるよう計画しなければならない。
11.2 居住設備の関連法規
居住設備に関しては、「設」第2編に規定され、次の章に分れて記されている。