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4) 被包ガス流量が少ない又は風が強いと気孔が発生する。

5) ノズル高さが高すぎるとプロホールが発生し、低いとスパッターでつまりやすい。

6) 溶接電流が大きくなるとビード幅広くなり余盛高く、溶け込み深くなる。

7) アーク長が長くなるとビード幅広くなりスパッター粒大きく、溶け込み浅くなる。

8) 溶接速度は速くなるとビード幅狭く、溶け込み浅く、余盛り低くアンダーカットが発生しやすい。

9) 母材表面に油、サビが多量に付着すると気孔が発生しやすい。

安全衛生について

炭酸ガスはガス自体が毒性を有しているのでなく、炭酸ガスの空気中での濃度が高くなると酸素量が少なくなり人体に酸欠症状が起こり、不快感や重くなると死をまねく可能性もある。

ヒュームは溶接ワイヤやフラックスなどから蒸発して折出した金属や金属酸化物などの微粒子の集まりです。ヒュームを形成している微粒子は通常0.05μ程度の微細なものから10μまででアーク周辺の気流に乗って拡散するので溶接位置から少し離れるとヒューム濃度はかなり低下するが半自動溶接トーチを持って作業する程度の位置では比較的高くなる場合がある。10μ以上の粒子は大気中より比較的早く沈降し、吸入しても鼻腔や咽喉部に付着し、痰などとして排出されるが数μ以下では空気の流れに乗りなかなか沈降せず、吸入する機会が増し気道肺胞への付着率が高くなる。これらの金属粒子を過多に吸入すると金属熱といわれるものやじん肺などにより肺機能がおかされるので、ヒュームを吸入しない様十分な注意対策を取る必要がある(マスクは必ず着用のこと)CO2溶接ではワイヤー溶融量の約0.5%がヒュームとなり、その内約55〜65%程度は鉄又はその酸化物で形成されている。

 

2.3 簡易自動溶接法

前述したように、炭酸ガス溶接は溶接能率が良く、かつ全姿勢溶接が可能なため、最近著しく普及し、全溶接の約60%も炭酸ガス溶接で施工されている造船所もある。この炭酸ガス溶接は、通常作業者がトーチを保持し運棒(ウィービング)する半自動溶接として使われるが、トーチを走行台車に搭哉した自走式の簡易自動溶接法も、グラビィテーに変わって普及しだしたので2〜3の例を紹介する。

 

2.3.1 簡易自動隅肉溶接装置

走行レールのあるものとレール無しの無軌条式のものがあるが、無軌条式のものは鋼板にマグネットローラーを吸着させるタイプのものと、溶接線をガイドローラーで機械的に倣うものがある。これらのものは装置重量が20kg以下と軽量でハンドリング性が良いため、1人で複数台使用が可能であり、能率向上に役立っている。第2.8図はその1例である。

 

 

 

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