しかし一方、機械的に行うものであるだけに、開先の微妙な変化に対しては即応することがむつかしく、特に間隔が大きすぎると、溶接の溶け落ちが出て、中断されることにもなる。この溶接法が普及したかげには、長い切断線を高精度に切断する、フレームブレーナ等のガス切断機の設置があった。従ってフレーム・ブレーナー等の機械がないときに、サブマージド溶接機を使用するには、手溶接と併用した、シールドウエルド方式等を使用する必要がある。
また、この溶接は非常に高能率であるが、通常、下向き、横向きにしか利用できず、設備費が高いことや、短い溶接線には、段取替えに時間がかかる等の点があるために、採用にあたっては、十分に、その使用範囲を検討した上で、決める必要がある。
なお最近は、この溶接法を使用して裏面に銅のあて金等を設置し片面のみから溶接を完了させる片面自動溶接法も使用されている。
2.2.3 MIG・TIG溶接
シールドガスにイナートガス(ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス)を使用する方式である。不活性ガスは高温でも金属と化合しない極めて安定なガスであるために、この雰囲気中で溶接すれば、溶着部には非常に健全な金属を得られる。この方式には電極が溶ける溶極式のMIG溶接第2.5図と、電極にタングステンを用い、別にガス溶接のように添加棒を加える非溶極式のTIG溶接第2.6図がある。
この溶接法は極めてすぐれた溶接法であるが、装置の価格が大きいことと、不活性ガスの費用が高くつくこと等から、通常の軟鋼の溶接等には使われず、アルミニウム合金等の非鉄金属の溶接に使われている。