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(3) シリコン(けい素)

0.2〜0.6%程度の範囲のけい素(Si)は、綱の伸びをほとんど減ずることなく弾性限と引張強さを増す。けい素は溶鋼の製造中に含有酸素ガスを除却する脱酸作用があり、キルド鋼製造に重要な役割をもっている。

(4) リン

リン(P)は強さと硬さを増加するが、普通の鋼では0.05%以下に制限されている。多量に含まれると強さは増加するが伸びと靱性が減少する。

(5) 硫黄

硫黄(S)は鉄と化合して硫化鉄(FeS)となり、またマンガンと化合して硫化マンガン(MnS)を作る。FeSは融点の低い共晶を作るので、凝固中に粒界に集まり熱間加工性を害する。しかし硫黄は鉄よりマンガンと化合しやすいから、マンガンが適量以上あると硫化鉄を作らず、硫化マンガンとなり組織内に分散した不純物となり、熱間加工性に影響を与えない。普通の鋼では、含有量を0.05%以下に制限している。

 

1.2.2 溶接性

溶接性とは欠陥を作らずに接合できる接合性と、十分に使用に耐える使用性能を包含した性質を指し、造船用鋼材として不可欠な性質である。すなわち、いかに強度、延性、靱性のすぐれた鋼材であっても、溶接ができないようなものは造船用鋼材として使用することはできない。溶接が可能であるためには溶接欠陥、とくに溶接割れに対する感受性が低く、能率的な溶接を行っても継手の機械的性質が十分確保させることが鋼材に対して要求される。このような溶接性を判定する際に利用されている方法には次のようなものがある。

(1) 硬化性

硬化性の高い鋼材ほど割れ感受性も高いという一般的な傾向があるため、溶接性を知る上でまず検討されるのが鋼材の硬化性である。硬化性を調べる方法でよく用いられるのは炭素当量式と溶接部の最高かたさ試験である。

鋼材の硬化にもっとも影響の大きい元素は炭素であり、炭素量とかたさの間には第1.3図に示すような関係がある。

 

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第1.3図 炭素量と熱影響部のかたさの関係

 

 

 

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