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それには溶接をする前の開先の状態、棒の乾燥度、使用溶接棒の適正化、溶接中の電流の管理、溶接工の技量と性格等にまでよく見て日頃から注意しておく必要がある。溶接を行うのは溶接工であるが管理、監督者が溶接に対してしっかりした知識と理解を持っているか否かが、溶接の品質を決める重要な要素である。

鋲接手等と比較して、溶接による接合を採用した場合の利点としては、次のようなものがあげられる。

(1) 船体が軽くできる。

船の値段は一般に、その積荷の量によって決まるもので、たくさんの鋼材を使ったからといって高く売れるものではない。従って、少ない材料費で済めば造船所が利益を受けるのは勿論のこと、船主も同じ貨物の量を運ぶのに主機関の馬力も小さくして、同一速度で運航することができるということになる。

(2) 工期が早く、工数が安くできる。

溶接の工事には、鋲接手の場合に比較して、工程数が少ない。即ち鋲の場合には、孔明、孔合わせ、仮孔に取り付けボルトを取る、あてもみまたは孔サライを行う、皿取りをする、鋲を打つ、返し締めを行う、仮ボルトの移動、水止めコーキングをする等の多くの仕事を行わなければならないのに比べて、溶接接手ではガス切断による開先準備、取り付け作業のあと、直ちに溶接作業に入ることができる。

この工程数の減少が、工期を早くし船のコストを引き下げている。

また、最近のように騒音による公害が声を大にして叫ばれている現在、大きな打撃音を発して鋲打工の多くが難聴の障害のあったような作業は、社会的に許されなくなりつつある。

 

以上のような利点がある反面、溶接作業を行う場合に注意しておかなければならない事項を整理してみると、

(1) 収縮変形がある。

溶接は熱を加えるため、材料に曲ったり、縮んだりする変形が起きる。これは最初に予定した形状に部材を作ることが非常にむづかしいということを示している。機械工作等の場合では、図面指示寸法通りに、各部品を製作して行くことにより、全体の製品の寸法、形状を正しく、決めることができるが、溶接構造を採用したときには、最終の図面指示通りの製品を作るために、種々の予測を行わなければならない。その予測のうちには、伸ばし寸法だとか、逆歪みがある。

(2) 内部の残留応力がでる。

部材を溶接して自由に変形するままにしておいたらとんでもない形状になってしまうことが多い。その場合には、熱を加えて、歪み取りを行ったりするが、そのために内部に残留応力が残る。また、自由に変形させないために、拘束を加えることがある。そうすれば、変形となる代りに内部に応力として残ることになる。

 

 

 

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