7.4 手直し方法
7.4.1 取付け欠陥の手直し
取付け欠陥には、目違い、ラップ継手の間際及び重ね代に関するものがある。
それ等の取付け精度については
J.S.Q.S等にその標準範囲が示されている。一般的なものを7.1表に示す。但し前にも述べた様にこれは大型船の場合を主としているので、板厚の薄い小型船の場合は数値をもっときびしくする必要があるだろう。
目違いは強度上極めて好ましくない。詳細は5.4.5目違いの項を参照されたい。
ラップ継手の間隙はヘヤークラック等の原因となり好ましくない。メタルタッチが理想である。ラップの重ね代の過不足は、振動によるクラックの発生を招き、強度上好ましくない。過多の場合は切断すればよいが、不足の場合は、一部新替又は突合わせ継手に変更する等の処置が必要である。
部材の寸法不足や開先に関する修正については5.4.4開先の項の第5.1〜5.2表を参照されたい。
7.4.2 水漏れ、エアー漏れの手直し
水圧試験、気密試験時に発見されるものである。
(1) 漏洩が小さい場合
その場でエアーハンマーによるコーキングで漏洩個所をつぶし、水止めする。試験後、水やエアーを抜いて溶接により補修する。
(2) 漏洩が大きい場合
割れやブローホールによる漏洩はコーキングでは止まらない場合が多い。水及びエアーをその部分まで抜いて、欠陥部をハツリ取ってから再溶接を行う。水のある状態や、エアーの吹き出る状態では、完全な溶接は施行できない。
(3) 水切り溶接の施行
水密隔壁を縦通する縦通材の隅肉溶接部から水漏れすることがある。(第7、2図)
取付け部に肌隙があれば、隅肉溶接が溶け込み不良となり、肌隙がとじ込められた状態で残る。水圧試験時、ブローホール等の溶接欠陥部より浸み込んだ水が、この間隙を通り、隔壁を越えて次の区画へ水漏れとしてでてくる。隅肉部に直径10〜15mmの孔を貫通させて、溶接により間隙を埋めることにより水を遮断する。これを水切り溶接という。隔壁の両側100〜200mmの部分に、全縦通材について施行する。これを忘れると水漏れが止まらないことがある。
7.4.3 小径孔の穴埋め法
スカラップ、セレーション、パイプ孔等の誤作による穴埋めは、溶接施行上問題がある。