単底構造の機関室、船倉部の常時没水部分は、ホーステストよりも漲水試験の方が確実で望ましい。
(8) 気密試験
水圧試験を気密試験で代行することがある。舵板、船尾材の空所等、注排水できない区画、タンカー等の水圧試験を施行しないタンク、補修後の部分的な試験等の場合に気密試験を行う。方法は区画を密閉し、圧縮空気を注入し、水頭に相当する圧力をかける。圧力測定は水柱、水銀柱、圧力計による方法がある。
漏洩発見方法は、溶接部に石鹸水を塗り、その泡立ちによるのが、手軽で便利である。
(9) その他の検査
下記工事施行時に、検査として、検査官、船主が立会うことがある。
○軸心本見透し
○最終のキールサイト
○ドラフト、マークの位置出し
○型深さの計測
7.3.4 検査に対する注意事項
(1) 船殻、艤装の全工事完了後、受検する。
(2) 事前に社内検査して、手直し後、完全な状態で受検する。
(3) 溶接部の塗装は、検査後行う。
(4) 過度の圧力は、タンクを破壊する。圧力計は、必ず点検後使用する。
(5) 空気抜き孔、排水孔、水切り孔を必ず事前にチェックする。
(6) 水圧試験は、周辺の仮補強をはずして、無拘束の状態で施行する。
(7) 容量の大きいタンクの水圧試験は、注水前に船底の盤木、支柱等を増加して、船体の局部沈下を防ぐ必要がある。
(8) ビード、漏洩等の手直しは、必ず認められた方法で行うのが原則である。
(9) 立合検査は回数を少なくして能率的に行なうのが良い。例えば隣りあわせの区画の水圧試験と内部構造検査、内部構造検査とホーステストを同時に行う。
(10) 船殻構造全体にわたって、検査洩れのないように消込みを行うとよい。
(11) 検査日程は、受検よりも工事を完了させる日を意味する。
図面は検査官、船主の承認を得ている筈である。従って、図面と異なる工作法を行う場合は、強度上等の重要問題があるので、承認を得る必要がある。例えば、一部新替、継手の追加、板厚や形状の変更等についてである。
工作要領の無断変更は技術者として厳に慎まなければならない。