3.5.2 冷間曲げ加工における注意事項
一般の自動車工業その他の加工に比べると、造船における曲げ作業は、極めて簡単である。絞り加工に属するものが殆んどなく、曲げも一方向のみが多い。したがって、プレス型としては、通常、2〜3種のヤゲンを持つのみで足りる。
注意すべきこととしては、フランジ折りのときに、内型半径を余り小さくとると、フランジの反対面で亀裂の入ることがある。JISの規程によれば
SS4l 内径 1.5t
SM4l 内径 1.0t
で、鋼材の試験をすることになっている。従って曲げ加工の基準としては、曲げの内径半径は1.5t〜2.0t位としておいた方が無難である。
一般に、このフランジ折りのクラックに対しては、キルド鋼よりも、リムド鋼の方が割れにくい。これは、キルド鋼に含まれているSi(ケイ素)が材料を硬くする性質があるからである。
鋼材には、スプリングバックという現象があり、プレスで押しているときより、多少、曲りが戻る性質がある。従って、曲げ作業を行うときは、型をあてながら、最終形状を確認して完了としをければならない。このスプリングバックの現象は、材料によって異なり、普通の軟鋼よりも高張力鋼の方がスプリングバックの量は大きい。
3.6 部材の揃え方
3.6.1 部材リスト
どのような部材がどれだけ、いつ必要かを知ることは、生産管理の上からは、非常に重要なことである。