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3.4.2 線状加熱による材質の変化

鋼材の材質に対して、影響を与える要素は温度である。溶接のアークによる溶着部の温度は、1,400℃附近にまで達するが、線状加熱による鋼材の表面温度は第3.8図に示すごとく700℃から800℃位(温度管理は温度チョークによること)であり、次に述べるように、最も効果の高い加熱速度による温度はこれよりも低くなる。従って、多少の材質の変化は見受けられるが、問題とする程のものではないといわれている。

 

3.4.3 最適の曲げ条件

線状加熱の原理が先に述べたように、板厚の上下にか付る応力の差から生ずるモーメントにより曲げを行うものであるから、加熱速度(バーナーを動かす速度)は早すぎてもおそすぎても不具合であり、その最適速度というものがあるはずである。これを実験的に求めて、整理したのが第3.9図である。これで見るように、板厚がうすくなればなる程バーナーを早く動かさねばならないことがわかる。

 

3.5 冷間曲げ加工

3.5.1 冷間曲げ加工の機構

冷間曲加工と通常いわれているものは、プレス等の機械力を利用する作業である。この種のものとしては次のような機械がある。

(1) ベンディグローラー

円筒形に部材を加工するときに用いられるもので、船体の外板でもビルジ付近や、ステムファッションプレートの荒曲げ又は船側外板に一度荒曲げを施す等の用途がある。

(2)たて形プレス

外板を曲げたり、甲板等のナックル部分を曲げたりする。最近の大型プレスでは、ラム が移動、回転することにより、広範囲の作業ができるようになっている。BKTのフランジ折り等には欠くことのできない機械である。

 

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第3.8図 線状加熱による鋼板の温度分布

(XYの交点に加熱バーナーがある時)

 

 

 

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